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コザの商店街、出店需要は高いけど…「貸し出せない」悩み 騒音、所有者不明など課題に<チャンプルー半世紀・沖縄市市制50周年>2


コザの商店街、出店需要は高いけど…「貸し出せない」悩み 騒音、所有者不明など課題に<チャンプルー半世紀・沖縄市市制50周年>2 独特の町並みで映画のロケ地にもなっている銀天街=2021年3月3日、沖縄市照屋
この記事を書いた人 Avatar photo 福田 修平

 近年、にぎわいを取り戻してきている沖縄市の中心市街地は、飲食業を中心に出店希望が多いにもかかわらず、通りを歩くとシャッターが閉まったままの店舗も少なくない。空き店舗が残る背景には、商売の環境の変化、建物の老朽化などの理由で生まれた「貸し出せない店舗」の影響がある。

 市によると、胡屋十字路地域にある一番街やサンシティ、胡屋大通り会などの商店街や、コザ十字路地域の銀天街など、沖縄市の中心市街地には2022年時点で764店舗ある。そのうち空き店舗数は121店舗で、10年前の12年と比較して31店舗(約20%)減った。営業店舗数は同比29店舗(約5%)増となっており、中心市街地の出店需要が高まっていることが分かる。その一方、権利者に貸す意思がなく、倉庫や車庫等にしているのは57店舗で、同比で10店舗(約21%)増加した。

 1974年の沖縄市誕生により一番街商店街と呼ばれるようになった当時、商店街は地元住民のための衣服や化粧品などの小売店舗が中心だった。同商店街振興組合の親川剛理事長は「当時は昼が中心の商売だった。そのため商環境と住環境が両立できていた」と説明する。

商店街を挙げてのキングスの応援などの取り組みを紹介する一番街商店街振興組合の親川剛理事長=9月20日、沖縄市の同商店街

 一方で、現在は飲食業の出店希望が多く、営業が昼とは限らない。「夜中心の店舗となると騒音などの問題が発生してしまう」と危惧する。この状況を受け、飲食業事業者らが、商環境と住環境の両立に向け、対策などを協議するため動き出している。

 同じく中心市街地に指定されるコザ十字路横の銀天街でも、飲食業などの需要は高まっているが、貸し出せる店舗がほとんどないのが現状だ。コザ十字路通り会の森寛和会長によると、銀天街の店舗では相続などで所有者が不明となっていることや、古い建物が多く修繕費の問題などがあるという。

 森会長は空き店舗の地主に対しても働きかけをしているが、問題の解消には至っていない。「世代を重ね土地などへの考え方が変われば、状況も変わるかもしれない」と期待する。

 一番街やパークアベニューなどの通りの運営に長年関わるイドムスの広瀬陽さんは「以前は空き店舗の問題があり、空き店舗の問題がなくなった現在は騒音などの課題が出ている。問題がなくなることはないだろう」と述べ「商店街自体が主体性を持ってまちづくりを進めていくことが重要だ」と今後を見据えた。 

(福田修平)