沖縄の新しいエンタメとして
県内唯一のプロレス興行団体「琉球ドラゴンプロレスリング」(通称:琉ドラ)が、今年10周年を迎えた。4月に那覇文化芸術劇場なはーとで開催されたメモリアル大会を皮切りに、昨年はコロナ禍で自粛していた県外遠征や、海外選手の招聘(しょうへい)など精力的に活動した一年だった。琉ドラ代表のグルクンマスク(以下、グルクン)さんと、所属レスラーの皆さんにこの10年を振り返るとともに、今後の抱負を語ってもらった。
「今までずーっと10年間かけてやってきたことが、ようやく形として見えてきた感じはしますね。僕の中では『もう10年たったのか』と『まだ10年か』という両方の気持ちです」と話すのは琉ドラ代表のグルクンさん。
琉ドラの旗揚げは2013年。きっかけは当時グルクンさんが所属していた「沖縄プロレス」の活動休止だった。
「沖縄にプロレスの芽がようやく出始めた時期だったんで『消すのはもったいないんじゃない?』っていろんな方からアドバイスを頂き、旗揚げに踏み込みました」
「プロレス=荒っぽいもの」というイメージがある中で、琉ドラは子どもからお年寄りまで楽しめるファミリーエンターテインメントに仕上げている。プロレスの強みである力強さや迫力はそのままに、ときどきクスッと笑えるようなコミカルな部分も多い。全てはお客さんを笑顔にさせたいという思いがあってのことだ。
旗揚げ当初から所属している、女性レスラーのハイビスカスみぃさんは「闘牛場や残波岬の海上など、沖縄ならではの場所でのプロレスが楽しめるのも見どころの一つです」とその魅力を話す。
地方団体としてのプライド
沖縄唯一のプロレス団体としてのプライドもある。
「地方だから適当にやっていると思われたくないんですよね。それはプロレスというジャンルを汚すことにもなるし、沖縄を汚すことにもなる。『沖縄のプロレス、意外とすげぇな』って思わせたい」とグルクンさんは語る。
実際、琉ドラは新日本プロレスや全日本プロレスといった日本を代表する団体の試合に出場するなど、つながりもある。これは地方団体としてはまれな事例だという。日々の練習量や体つき、技術面などで評価された結果だろう。
「中央にもちゃんと通用するレベルなんですよ、っていうのを維持し続けるっていうのは大事なことだと思います」
今後の抱負
琉ドラは県外や海外での試合も多い。「現状の課題は、ウチナーンチュのレスラーの不足」だと話すグルクンさん。そんな中、琉ドラには現在2人の若いウチナーンチュレスラーがいる。
糸満市出身のウルトラソーキさんは22年、念願だった地元糸満市での自主興行をかなえた。「今後はまた糸満でプロレスを開催したい。あとは外国でもプロレスをしたいなって思いますね」
南城市出身のティーラン獅沙(シーサー)さんは、琉ドラのチャンピオンベルトの獲得を目標に掲げる。
「団体の顔といえるベルトを持って、まずは県外に打ち出していきたいな、と思いますね。沖縄のプロレスを県外にアピールしていきたい」と闘志を燃やす。
「今後は新人選手を増やしていきたいですね。それと、まだプロレスをしていない地域や場所でプロレスをしたい。やんばるや離島、首里城や瀬長島とか。可能性は無限大ですよ」(グルクンさん)
旗揚げから10年がたった琉球ドラ。その情熱は今もなお増すばかりだ。
(元澤一樹)
琉ドラベント情報
●イオンモール沖縄ライカムイベントプロレス
日時:12月30日(土)・31日(日)
いずれも13:00~、17:00~
料金:無料
●新春スペシャル2024
場所:琉球ドラゴンジム
日時:2024年1月3日(水)14:00~
料金:2000円
●イーアス沖縄豊崎イベントプロレス
日時:1月6日(土)・7日(日)
いずれも13:00~、16:00~
料金:無料
●我栄トーナメント2024開幕戦
日時:1月14日(日)14:00~
場所:イーアス沖縄豊崎3Fイベントホール
準決勝、決勝日時:2月23日(金・祝)13:00~
場所:沖縄市民会館中ホール
料金:SS席4400円
一般指定席3850円
高校生以下、65歳以上、障がい者指定席200円
(2023年12月28日付 週刊レキオ 新年号掲載)