30日に大阪府東大阪市の花園ラグビー場で開かれた第103回全国高校ラグビー大会の2回戦で、2年連続21度目の出場となる沖縄代表の名護は、7回連続17度目の出場の城東(徳島)を38―21で破り、県勢10年ぶりの16強入りを果たした。2連覇を狙う東福岡、選抜大会王者の桐蔭学園(神奈川)、佐賀工のAシード勢が勝ち、来年1月1日の3回戦に進出した。前回準優勝の報徳学園(兵庫)、茗渓学園(茨城)、大阪桐蔭(大阪第2)なども3回戦に進んだ。中部大春日丘(愛知)は、高松北(香川)が登録選手数を満たせなかったため不戦勝。名護は花園での通算成績を12勝20敗とした。次戦は1月1日午後2時45分から東福岡と8強入りを懸けて戦う。
モールになれば押し込んで得点し、インゴール直前まで迫られても守り切る。素早い相手に攻守ともに粘り強く戦い抜き、17年前の2回戦と同じ対戦カードとなった城東戦で、名護が白星をつかんだ。目標の16強入りを果たし、次戦は前回王者の東福岡とぶつかる。屋部樹志主将は「正面からバチバチにやる」と闘志を燃やす。
試合の開始早々、声を合わせながらモールで相手陣地へ進み、先制パンチを浴びせた。FB宮里快一はこの日も巧みなランスキルと俊足でトライを決めた。屋部主将は正確なコンバージョンキックで得点するなど、完全に流れをつかんでいた。
しかし素早いパス回しで応戦する相手に防御の穴を突かれて失点を許し、後半1分には同点とされた。
屋部主将が「苦しい時こそ、楽しんでやろうぜ」と仲間を鼓舞すると、直後の後半4分、名護が勝ち越しのトライを奪った。そのまま相手の逆転の芽をつぶし、聖地での年越しを決めた。
17年前の対戦時に主将だった田仲祐矢監督は「子どもたちには関係ないので言わなかったが、私にとっての再戦を勝てて良かった」と安堵(あんど)する。次戦へ向け「県代表として、感動できる試合を行いたい」と決意を込めた。
(名波一樹)
2年新里、攻守に存在感
2年生WTB新里心惟は、攻撃では追加点のトライ、守備ではここ一番でのタックルを決めて存在感を示した。
7点を先取して迎えた前半8分、スクラムからWTB古堅壱真が仕掛けた。中央付近からキックパスを出すと、左サイドの新里がボールをつかみ、そのままインゴールへ飛び込んだ。
後半に相手の猛攻を受けた際は、ボールを持って迫る相手に無我夢中でタックル。相手の反則を奪ってマイボールスクラムとした。仲間からは「(新里の)一歩出る勇気がチームを救った」と声をかけられたという。「初戦では何もできなかったが、ここで貢献できて良かった」と満足げだった。
(名波一樹)
「流れ変える」トライ ピニラ
後半から出場した2年生のLOピニラ・ハンスは「流れを変える」と燃えていた。出場からわずか2分、言葉通りの勝ち越しのトライを決めた。
同点とされた直後、名護は走力とパスワークを生かして攻め込み、相手インゴール手前のラックから左へボールを運んだ。「チャンスだ」。ゴール直前にタイミングを合わせて走り込む練習をしていたピニラがパスを受け、そのまま飛び込む。トライを知らせる笛が鳴り、再び名護に流れを引き寄せた。
次戦に向け「東福岡というチームに今の自分がどれだけ通用するか試したい」と挑戦者の意気込みをみせた。
(名波一樹)