有料

全国高校ラグビー、名護8強ならず 終了1分前、執念の猛攻 前回王者に一歩も退かず 東福岡に0ー59【1日の試合】


全国高校ラグビー、名護8強ならず 終了1分前、執念の猛攻 前回王者に一歩も退かず 東福岡に0ー59【1日の試合】 名護―東福岡 後半22分 ステップで敵陣に縦に攻め込むFB宮里快一(名波一樹撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 第103回全国高校ラグビー大会第4日は1日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で3回戦を行い、沖縄代表の名護は前回王者の東福岡に0―59で敗れた。名護は花園での通算成績を12勝21敗とした。桐蔭学園(神奈川)と佐賀工も8強進出。2回戦が不戦勝だった中部大春日丘(愛知)なども準々決勝進出。流通経大柏(千葉)はノーシードで唯一8強に駒を進めた。抽選の結果、3日の準々決勝は桐蔭学園―東海大大阪仰星、中部大春日丘―佐賀工、東福岡―茗渓学園、流通経大柏―大阪桐蔭に決まった。


終了1分前 執念の猛攻 前回王者に一歩も退かず

 「相手の接点の強さは日本一。けど、名護も接点にこだわってきた。絶対に逃げない」。CTB屋部樹志主将率いる名護は、前回大会の王者・東福岡と正面からぶつかった。

 試合終了1分前、ラインアウトからインゴール手前右サイドで執念のモール。押し切れずともボールをつないだ。ロスタイムまで続いた猛攻の一瞬、ボールがこぼれた。相手に独走トライを許し、最後のキックを決められると、無情にもノーサイドの笛が響いた。

 開始直後から粘り強く防御した。PRの山本桃季と宮本大雅らFW陣も体を張る。しかし前半9分、キャリーで相手先制トライを許す。そこからじわじわと点差をつけられた。

 名護はキックで敵陣へ攻め込み、高く蹴り上げるハイパント、モールで応戦。終盤に執念の猛攻もみせた。だが、県勢未踏の8強には届かず、1トライさえも遠かった。

 試合後、涙を浮かべた屋部は「後輩たちが8強の壁を壊してくれる。名護と言えば接点と言われるチームになり、新しい歴史をつくってほしい」と後輩たちに未来を託した。

 田仲祐矢監督が名護の主将を務めた17年前、8強を懸けて敗れたのも東福岡だった。「正面から戦い、後輩につながる財産をつくってくれた。(県勢が)FWで勝てない歴史を変えてくれたかな」と目を細めた。

 (名波一樹)


宮里、点奪えず悔い

 「シード校に勝つつもりだった。0点に終わり悔しい」。HB宮里快一は涙をこらえて語った。キックでエリアを支配、俊足で敵を抜き去る。聖地を駆け回ってきた名護の韋駄天(いだてん)は、昨年の王者から点を奪えず唇をかみしめた。

 後半22分、高く蹴り上げたハイパントから再びボールを手にした宮里は敵陣に切れ込む。一人、また一人と相手をかわすが、タックルにつかまった。それでも右から走り込んできたCTB前川尚泰にパスを放った。ボールは相手にすくわれたが、倒れる直前まで奮闘した。

 「自分たちのプレーをやるだけだ」。劣勢にも闘争心を切らすことなく、最後まで攻め続けたが、インゴールにボールをたたきつけられない。「個人のスキル、判断力、パス能力の高さ。そこが自分たちとの違いだ」とAシードの強さを実感した。

 副主将として、高校日本代表候補として名護の快進撃に貢献してきた宮里。卒業後は大学ラグビーの舞台へ。「後輩にはベスト8を突破してほしい」。思いを託し、次のステージへ駆けていく。

 (名波一樹)


FW陣の要石「やりきった」 ナンバー8仲本

 ナンバー8仲本兼弥は、奮闘した名護FW陣の要石として戦い抜いた。

名護―東福岡 後半24分 タックルを受けながらも前進する名護の仲本兼弥(奥左端)(名波一樹撮影)

 元はバスケットボール部員。前回大会の県大会決勝で見たコンタクトの迫力に圧倒され、ラグビーの魅力にはまり入部を決意。それから約1年後、聖地花園の舞台に立った。

 身長180センチ、体重100キロ。攻守ともに「ハードワーク」でどんな相手にも全力でぶつかり続けた。意地を見せたのは後半24分、ボールを持ち、タックルを受けながらも果敢に前進した。「負けた悔しさはあるが、やりきった」と表情に悔いはない。

 「リーダーシップが必要なナンバー8を、(ラグビーを始めて)約1年の自分に任せてくれた監督やメンバーに感謝したい」と語った。

 (名波一樹)


今季一番いい試合

 名護の田仲祐矢監督の話「敵陣深く入ってスコアできれば良かったが、東福岡の重圧が強かった。接点が強い相手にどれだけやれるか、逃げずに立ち向かうか。今季一番いいゲームだった。戦えた部分も足りない部分も明確になり、後輩につなげてくれた。