昨季は正捕手として自己最多の134試合に出場し、打撃主要3部門でキャリアハイを達成した巨人の大城卓三(首里中―東海大相模高―東海大出)。3年ぶり2度目のベストナインに輝き、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界の頂きに立った。飛躍の年にも見えるが、チームは4位に沈み、チーム防御率は3・39。「まずは勝つことを大事にしたい」。“打てる捕手”から“勝てる捕手”へ覚悟をにじませる。
昨季はWBCで侍ジャパンに招集されたため、沖縄キャンプは2年ぶりの参加となった。那覇市での2次キャンプ初日、大城はチーム練習を終えた後も自主練習で黙々と打撃に磨きをかけていた。「暖かくてとてもいい環境で体も動く。自分の中ではもう少し打ちたかった」と実践へ向けた準備を進めていた。
キャンプでは投手陣とも積極的にコミュニケーションを図っている。ドラフトなどで新戦力が加わり「若いピッチャーが増えたので楽しみ。新しい力に期待している」と話す。ブルペンでは球筋など投手の特徴を捉えつつ、受けた感想を伝えているという。
昨季、WBCで他球団の選手とバッテリーを組んだことも大きな学びになった。それでも「世界一を味わったけど、チームとしては悔しいシーズンになった。うれしい気持ちと悔しい気持ちを味わった1年だった」。
打撃面の好成績は、これまでの取り組みが実を結んだ結果だという。「新しいことだったり、やってきたことの継続だったり、1年間、自分の中で続けてきたことがある。調子が落ちても、その波が激しくなくなった」と手応えを語る。
扇の要として試合をリードするだけではない。今季は選手会長に任命され、チーム全員の意見を代表する立場になった。「以前と比べると責任感が増した」と自覚する。昨季の成績は打率2割8分1厘、16本塁打、55打点でキャリアハイ。守備でも盗塁阻止率がリーグ2位の3割7分3厘と好成績を残した。今季の目標は「去年の全ての数字を上回っていきたい」。31歳のベテランがチームを引っ張る。
(古川峻)