有料

興南-宜野座 エナジック-ウェルネス 4強決定、セルラースタジアム那覇で準決勝 <第71回県高校野球春季大会>第8日


興南-宜野座 エナジック-ウェルネス 4強決定、セルラースタジアム那覇で準決勝 <第71回県高校野球春季大会>第8日 沖縄尚学―エナジック 沖尚打線を相手に粘りの投球を見せたエナジックの古波蔵虹太=30日、沖縄セルラースタジアム那覇(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第71回県高校野球春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)第8日は30日、沖縄セルラースタジアム那覇などで準々決勝4試合が行われた。宜野座が3―0で嘉手納を下して10年ぶり8度目の4強入りを果たした。エナジックは3―2で沖縄尚学に競り勝ってベスト4に初進出した。昨年覇者のウェルネス沖縄が沖縄水産に2―1で勝利し、興南が7―3で名護を退けた。ウェルネス沖縄は2年連続3度目、興南は3年ぶり15度目の準決勝進出を決めた。準決勝は31日、沖縄セルラースタジアム那覇で興南―宜野座、エナジック―ウェルネス沖縄が行われる。


エナジック逃げ切る 2投手、沖尚打線抑える

 変化球を操るエナジックの2投手が粘投し、強豪・沖縄尚学打線を2失点に抑えて勝利した。先発・古波蔵虹太は鋭いスライダーで攻め立て、救援・松田凜翔はチェンジアップで緩急をつけて打ち取る。

 2人の投手と強固な守備でシード校を破り、初の4強進出への道を開いた。

 初回から先制点をつかみ、流れに乗っていた。先発の古波蔵は「得意な球で試合をつくる」とスライダーを中心に腕を振って凡打の山を築く。しかし3―0で迎えた七回。ここまで5奪三振の好投だったが、相手打線に捕まり2失点。1死満塁で逆転される危機も訪れたが、チームは併殺で切り抜けた。

 3―2と1点差に詰め寄られ、七回で松田がマウンドに立つと、出だしから緩急を使って三振と二ゴロに打ち取った。しかし直後に甘い球をはじかれ2死二塁。それでも「平常心で」と右飛とする。九回は90キロ前後のチェンジアップを放ったかと思えば、134キロの直球を繰り出す。約45キロの速度差で狂わせ、失点することなく最後まで投げ切った。

 2投手を支え、長打力も見せたのは捕手の龍山暖だ。「まずはほっとしている。ウェルネス沖縄は侮れない。勝って初の九州へいく」と、頂点へと狙いを定めた。

 (名波一樹)


ウェルネス逆転勝ち 初回の攻防 勝敗分ける

 初回の攻防でウェルネス沖縄が沖縄水産に1点リードした。結果的にこの差が勝敗を分けた。

沖縄水産―ウェルネス沖縄 1回1死二塁、左方向に先制適時打を放つウェルネス沖縄の大濱安綺=30日、ユニオンですからスタジアム宜野湾(ジャン松元撮影)
沖縄水産―ウェルネス沖縄 1回1死二塁、左方向に先制適時打を放つウェルネス沖縄の大濱安綺=30日、ユニオンですからスタジアム宜野湾(ジャン松元撮影)

 一回表、エース安里大地が連続で安打を浴びて1点を許し、二死満塁のピンチに立たされた。

 「抑えようとしすぎた。いつも通り投げよう」と打たせるつもりで直球を投げると、中飛に打ち取ってしのいだ。

 一回裏は2番上地守隼が反撃の口火を切った。「ピッチャーが頑張っていた。チャンスをつくろう」と直球を右翼へはじき返して塁に出る。3番大濱安綺ら後続も安打で出塁し、2点を奪うことに成功した。「みんなが追いつこうと集中して打席に立った」(大濱主将)。

 二回以降は投手戦になった。安里は「直球が打たれていた」と変化球も織り交ぜ、リズムに乗った。六回に交代するか監督に聞かれたが、相手投手が打撃陣を抑える姿を見て「ここは引けない」とマウンドに立ち続け、二回以降を無失点で投げ切った。

 昨年の新人中央大会で敗れた沖縄水産に雪辱を果たし、連覇へ一歩近づいた。大濱主将は「みんなから連覇と言われるけど、次の相手も強い。一生懸命戦うだけ」と気を引き締めた。

 (古川峻)


宜野座、比嘉か完封 多彩な変化球 8奪三振

 味方がファウルフライを捕ると、完封した宜野座の投手、比嘉翔吾はガッツポーズを見せた。九回は二塁手の大城祐乃がダイビングキャッチするなど全員の守備も光った。比嘉は「打ち取るのが理想だった。味方もバックで支えてくれた」と勝利をかみしめた。

 技巧派の左腕として、直球を主軸に多彩な変化球で8奪三振とした。要所でけん制も成功させ、「相手に傾きそうな流れを切った。計算した守備ができた」と納得した。好投で宮城岳幸監督を「ピンチの時に粘って次のチャンスにつなげた」とうならせた。

嘉手納―宜野座 要所を抑え完封勝利した宜野座の比嘉翔吾=30日、ユニオンですからスタジアム宜野湾(ジャン松元撮影)

 攻撃では各選手が好機を逃さなかった。三回に山城蓮、五回に東成がそれぞれバントで得点につなげるなど、小技も絡めて着実に得点を重ねた。宮城監督は「こつこつと1点を奪う宜野座のカラーが出せた」とうなずいた。

 比嘉は昨年の秋季大会準決勝で沖縄尚学に敗れた悔しさを胸に、冬季の強化に取り組んできたという。「一つ一つの積み重ねが生きている」と成長を実感する。「攻守で自分の役割をしっかり果たし、チームに貢献したい」と次戦へ目を向けた。

(古川峻)


興南、着実に加点 仲田が勝利決める一打

 勝利を決定づける一打だった。興南は序盤からリードしながらも七回で4―3と1点差。直後の八回2死満塁、興南の1番・仲田陽が「苦しい時こそ打つのが仕事」と高めの直球を左中間に運んだ。走者一掃の適時三塁打で迫ってきた相手を振り切り、準決勝へと駒を進めた。

 秋は4番を担ったが、春は「足を生かしていきたい」と1番で出場した。2―0の三回はトップバッターとして安打で先陣を切る。二塁へ進んだ後は、自信があるという足を使って盗塁に成功した。相手捕手の投げるタイミングや返球速度を読み、あっという間に三塁へ。目指してきたのは、走塁ミスのない「隙のない野球」。遊ゴロの間に追加点のホームを踏み、「相手の隙を突くことができた」。

 追われた八回は「後ろに自信をつけられるなら」と、好機をものにして一挙3得点の適時打を放つ。リードオフマンとして得点に絡み、チーム最多の2安打3打点をマークした。

興南―名護 8回2死満塁、ダメ押しの適時三塁打を放ち、二塁から三塁へ向かう興南の仲田陽=30日、沖縄セルラースタジアム那覇(又吉康秀撮影)

 次戦は宜野座とシード校同志で対戦する。仲田は「1番として、好機でも1本出していきたい」と、勝利へと導くつもりだ。

(名波一樹)