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アーティスティックスイミング 比嘉、4年後「帰ってきたい」 初の五輪、悔しい結果に<熱戦パリ五輪 本紙・古川記者の現地リポート>


アーティスティックスイミング 比嘉、4年後「帰ってきたい」 初の五輪、悔しい結果に<熱戦パリ五輪 本紙・古川記者の現地リポート> デュエットFRの演技を終え手を振る比嘉もえ(右)、佐藤友花組=パリ郊外
この記事を書いた人 Avatar photo 古川 峻

 アーティスティックスイミングの比嘉もえ(井村ク)の初めての五輪の最終日。FRのテーマ「ペガサス」が、馬の鳴き声とともに始まった。冒頭で2度のアクロバティックのジャンプをこなすと、足技に移り3分近く泳ぎ続ける。だが、前日のTRと比べ足技でずれが目立ち、足を開く動作で一カ所間違いがあった。比嘉は演技を終えるとあおむけに漂い、採点者を気にする様子もなくプールから上がった。

 8番手の順番で暫定1位となり、金メダルの席に座る。後続に抜かれると席を譲り、1位から2位、2位から3位へ。最後は笑顔で他国の選手と抱き合い、無表情でプールを去った。

 これまでの4種目は終わり次第、ミックスゾーンで取材が始まった。この日すぐに姿を見せず、約27分後に現れた時、比嘉は目を真っ赤にしていた。「はぁ」と深いため息をつき、意を決したように話し出した。

 「5種目の中で一番自信があったと言うとあれだけど、一番泳ぎ込んできたルーティンだった。自分がミスをしてベースマーク(大減点)してしまった。悔しいし、ここで間違えた自分が情けない。やり切らないといけない立場なのにできなかったのが悔しいし、自分の実力不足と練習不足をすごく痛感した」

 デュエットに特化する国もある中、比嘉と佐藤友花(ジョイフルアスレティックク)はチームもこなし、デュエットは6月に正式決定したばかり。「誰が考えても時間が足りない」と佐藤。芸術点は前日より約10点低い85・45点だった。最高難度で挑戦したが、他国より完遂度で見劣りした。

 結果について「ただただぼうぜんと見詰めていた」という比嘉。「もっと本物の選手になってこの舞台に帰ってきたいと強く思った」。晴れ渡った16歳の夏の日の出来事を胸に刻んだ。

(古川峻)