パリ・パラリンピック第2日(29日)競泳男子50メートル平泳ぎ(運動機能障害SB3)で37歳の鈴木孝幸(ゴールドウイン)が48秒04で優勝し、日本選手団メダル第1号の「金」に輝いた。100メートルバタフライ(知的障害)で男子の山口尚秀(四国ガス)、女子の木下あいら(三菱商事)は5位。男子400メートル自由形(運動機能障害S9)で15歳の川渕大耀(宮前ドルフィン)は7位だった。卓球男子ダブルス(車いす8)の斉藤元希(プランテック)七野一輝(オカムラ)組は準々決勝で敗退。テコンドー男子58キロ級の田中光哉(電通デジタル)は敗者復活戦で敗れた。ゴールボール女子1次リーグD組の日本は第1戦で韓国に3―1で勝利した。30日は陸上男子5000メートル(視覚障害T11)で唐沢剣也(SUBARU)が2大会連続の銀メダル。和田伸也(長瀬産業)は4位だった。自転車男子3000メートル個人追い抜き(運動機能障害C2)の川本翔大(大和産業)は予選4位で3位決定戦に進んだ。日本は車いすラグビーが米国に45―42で勝ち、1次リーグ2連勝。車いすバスケットボールの女子は1次リーグ初戦でオランダに34―87で敗れた。ゴールボール女子は1次リーグ第2戦でカナダと対戦。競泳予選は男子100メートル自由形(運動機能障害S4)で前回王者の鈴木が全体2位で決勝に進出。
白星発進を切った女子ゴールボール。八重瀬町出身の安室早姫(沖縄盲学校―筑波大付視覚特別支援学校高等部―明治大出)が途中出場した。鋭い聴覚を生かした守備と意表を突く攻撃を見せてリズムを作り、チームの勝利に貢献した。
鈴が入ったボールが交互に目まぐるしく行き交うゴールボール。日本は韓国と1―1の同点で12分ハーフの前半を終え、安室は後半冒頭からセンターとして登場した。日常生活から音を繊細に聞き分けたり、気配を察知したりする能力にたけており、守備力が持ち味。両手と両足を目いっぱい伸ばして相手ボールを止め、好セーブを連発した。守備から攻撃へつなげる意識も高い。セーブしたボールをすぐに投げ返し、エース萩原の得点につながる試合の流れを作った。
特徴的だったのは、ボールを高くキープしたまま、助走し投げる独特のフォーム。鈴の音が鳴らないようにボールの気配を最大限消す方法だ。センター以外にも、左右の端に移動し、意表を突く攻撃を重ねた。相手に守備位置を知らせないように両手で床をたたき、音をかき消すフェイントも見せるなど後半の最後まで出場しチームメイトと手を取り合って勝利を喜んだ。
リオデジャネイロ大会で出場を逃し、東京大会は補欠の「ターゲット選手」としてチームに帯同したものの、出場はかなわなかった。念願の初出場を果たした今大会。本番へ向け「やっとスタート台に立てた。責任を感じている」と決意を見せていた。チームの主力として、次戦も勝利を目指す。
(渡真利優人)