世界最高峰の総合格闘技団体UFCフライ級5位で那覇市出身の平良達郎(THE BLACKBELT JAPAN)は10月13日(日本時間)、米国ネバダ州ラスベガスで同級1位のブランドン・ロイバル(米国・ファクトリーX)と5分5ラウンドで対戦する。
平良達郎の師匠は、ザ・ブラックベルト・ジャパン代表を務める松根良太氏だ。うるま市の津堅島出身で、3歳の時に父親の仕事の関係で千葉県に引っ越した。“修斗のカリスマ”と呼ばれた佐藤ルミナ氏に憧れ、16歳から格闘技の世界に入り、2000年にプロデビュー。03年には修斗の世界フェザー級チャンピオンに輝いた。29歳で沖縄に戻り、独立して格闘技ジムの「Theパラエストラ沖縄」(当時)を開いた。
「沖縄には総合格闘技の土壌がなく、強い選手を育てたかった。僕の出身でもあったし、独立するにはここがいいと思った」
キッズクラスの子どもたちからプロを目指す学生や大人まで、多くの会員の指導を続けてきた。プロ選手も何人も輩出し、平良達郎という逸材も育てた。
平良は「松根さんの指導力や人間力に引かれた。格闘技は怖いというイメージから、楽しいイメージに変わった。格闘技経験ゼロから育ててくれて、松根さんじゃなかったら(格闘技に)のめり込んでいなかった」と入門当時を振り返る。
松根氏が指導する上で大切にしていることは「まずは楽しんでもらうこと」。そんな松根氏の現在の願いは、「沖縄は格闘技が強いよね」とのイメージを広げていくことだ。「沖縄も関西、関東に引けを取らないようになってきた。ボクシングや空手、高校野球のように、『沖縄は格闘技も強い』という印象を広めたい」と語る。
長く総合格闘技の世界に身を置く松根氏によると、UFC王者は、世界中の総合格闘技家なら誰しも憧れる頂点であり、悲願だ。
「達郎には、王者になるだけでなく、子どもたちに夢を与える存在になってほしい。そしてその先に続く、夢をもった子どもたちも育てていきたい」。沖縄格闘技を担う師弟の挑戦は続く。
(名波一樹)