県高校新人体育大会の剣道は9日、那覇市の県立武道館で男女個人戦が行われた。男子は金城良鷹(嘉手納)が辻武蔵(興南)に、女子は島袋美々夏(興南)が識名ひより(那覇)にそれぞれ延長戦の末に競り勝って優勝した。
5度の延長、23分間にわたる激闘を制したのは嘉手納の金城良鷹(2年)だった。「こんなに延長するとは考えていなかった」と苦笑い。個人戦初制覇となり「とてもうれしい」と達成感をにじませた。
決勝の相手は強豪興南の辻武蔵。準々決勝で辻と対戦したチームメートから「自分からは打ってこない。攻めるとすかさず小手を取ってくる」とアドバイスを得ていた。巧みな駆け引きで一本を狙う相手にも「前に出て攻めることを意識した」という金城。隙を突く出小手(でこて)や出頭(でがしら)で一本を取ろうとするものの、逆に狙われてしまい「危ない場面もあった」と振り返った。
延長に次ぐ延長で消耗戦に突入し、互いに息の切れる音が会場に静かに響いた。「集中力は切れかかっていた」という5度目の延長で、辻が出小手を狙った一瞬の隙を見定め、面を打ち込んで勝負を決めた。
旗が一気に挙がった瞬間「やったぞ」と気持ちを高ぶらせた金城。チームメートに祝福され、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
(渡真利優人)