2018年が最後の現地慰霊墓参団となったパラオへ、11月に沖縄から個人参加の墓参ツアーが計画されている。組織的な現地慰霊祭は高齢化を理由に終了したが、その後も遺族などから現地訪問の要望が根強い。「沖縄パラオ友の会」の田中順一代表(90)は「若い世代にも参加してもらい、戦争体験を伝えていきたい」と話す。
パラオでは1977年に犠牲者を慰霊する「沖縄の塔」が建立され、遺族らが墓参を続けてきた。しかし高齢化を理由に2018年11月の第36回現地慰霊祭が最後となった。今回のツアーの主催は、旧南洋群島への慰霊の旅なども行っている国際旅行社となる。
ツアーは11月28日に出発し、5泊6日の予定。コロール島の「沖縄の塔」で犠牲者を追悼するほか、各自で墓参りや知り合いとの交流を行う。催行人数がそろえば、今後、旅行社を通じて広く募集する。
パラオでは戦時中、コロール島などに住んでいた日本人の大部分がパラオ本島(バベルダオブ島)へ避難した。しかし現地に食糧はなく、野草を食べるほどの食糧難で大勢の人が栄養失調で亡くなった。田中さんは「空襲や栄養失調で多くの人が亡くなった。戦争体験をしたのは私たちの世代までだが、若い人たちにも知ってほしい」と継承への思いを語る。
(中村万里子)
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