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【深掘り】竹富町、1人2000円の訪問税検討 今後の使途や徴収対象は? 


【深掘り】竹富町、1人2000円の訪問税検討 今後の使途や徴収対象は?  のどかな風景が広がり多くの観光客が訪れる竹富島=2013年
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 竹富町は新型コロナ感染拡大前は年間100~120万人の入域観光客数を誇った。100万人来訪まで復調すれば、1人2千円の訪問税によって20億円の税収を見込むことができる。

 町は当初から使途を定めない普通税としての導入を想定し、審議会で検討を進めてきた。9日の審議委では千円、2千円、3千円の案が出た。各島の防災対策などの拡充によって将来的に少なくとも計20億円が必要と試算し、2千円で一致した。

 観光客増で必要となる道路の整備や公共トイレの維持管理など環境整備に活用する意向だ。来島者によるごみ処理費や防災対策費用などの年間約10億円のコストを大幅に賄えるほか、観光客が多い竹富島や西表島以外の島々の整備にも役立てられる。

 町民と町内事業所に通勤する人、町外に通学する学生のうち町民の扶養親族は対象外。障がい者や石垣市内の学校に就学し、修学旅行などの教育関連での来訪者は課税免除の対象となる見込み。島の行事に参加する出身者や往来頻度の高い施工業者らについては割安な年払い制度を検討している。

 法定外普通税の訪問税の全国初導入となった広島県廿日市市の「宮島訪問税」はことし10月から始まり、1人100円を徴収している。

 一方、ホテルなどに宿泊した人から徴収する「宿泊税」は既に全国各地で導入されているが、最も高い場合でも千円程度だ。竹富町が2千円という全国でも高額な訪問税を実現し、一定の税収が確保できれば、県の「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」で掲げた観光客と地域住民の双方が共存を図る「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」の確立に貢献する。

 県内外の離島観光地で追随する自治体が出てくることも想定され、沖縄のみならず日本の観光政策にも影響を与える可能性があり、注目が集まる。

 町担当者は導入となれば「これまでの予算を他の事業で活用できることに加え、観光客らがより安心安全に訪問できる環境整備を進めることができる。持続可能な島々にするために必要な予算だ」と期待を込めた。

 県は2026年度の宿泊税の導入に向け検討を進めている。宿泊税については市町村独自に石垣市、宮古島市、本部町、北谷町、恩納村が導入の検討を開始している。竹富の訪問税を含め、入域に関する法定外税の導入に当たっては訪問者らの負担増にどのような措置が可能かも検討事項となる。

(梅田正覚、照屋大哲)