内閣府は2024年度沖縄関係予算の概算要求に「特定重要拠点」の整備のための予算を盛り込んだ。沖縄が日本に復帰した1972年以降、「沖縄振興」のために措置されてきた沖縄関係予算の「防衛」色が強まってきた。県は防衛目的の公共インフラ予算について国に要望はしていない。県関係者は「特定重要拠点の予算が増えることで振興予算に『しわ寄せ』が出たら非常に困る」と頭を悩ませる。
昨年から始まった第6次沖縄振興基本計画に合わせて国が昨年に策定した沖縄振興基本方針では、離島の安全保障上の役割について触れており、沖縄振興の意義付けが変質することを示唆していた。
これまで沖縄関係予算で軍民共用の那覇空港の第2滑走路増設が行われてきたが、民需の増加に伴う航空機の遅延・欠航トラブルの解消を目的としていた。防衛体制強化を名目としたインフラ予算が措置されると、沖縄関係予算の転機となる。
内閣府が財務省に要望した24年度概算要求は23年度当初予算比241億円増の2920億円だった。概算要求額のうちの公共事業関係費1262億円に加え、金額を示さず事業項目だけを要望する事項要求で国土強靱(きょうじん)化予算とともに、防衛体制強化のための公共インフラ整備予算を要望した。県は国土強靱化予算や従来の振興目的の公共事業予算の増額を要望しているが、特定重要拠点の整備予算がつくことで、これらの予算にしわ寄せが及ぶ恐れもある。
政府は沖縄関係予算を含めた24年度当初予算を例年12月に決定する。県関係者は「民間と自衛隊の施設使用の優先順位が変わる可能性があるなど影響は大きい」と懸念を示した。 (梅田正覚)