米軍横田基地所属のCV22オスプレイが鹿児島県の屋久島沖で墜落し1人が死亡した事故について、オスプレイの技術評価を担当した元主任分析官レックス・リボロ氏は入手可能な事実があまりないとした上で、目撃情報からオスプレイが墜落前に回転していたとされることについて「相互接続クラッチに問題があることを意味する」と指摘した。
機体が回転しながら墜落したという目撃証言に対し、リボロ氏は「クラッチが滑ったり、破損したり、ドライブシャフトが切断されたりした場合、飛行制御コンピューターが機体を制御できずに回転してしまう可能性がある。これまで一度もなかったことだが、今回が初めての事例になるかもしれない」との見解を示した。琉球新報のメールによる取材に対し、回答した。
今回の事故ではエンジン付近から出火していたという証言もある。リボロ氏は「火災はエンジン自体ではなく、エンジン近くの翼で発生した可能性がある。これがクラッチにも関係しているかもしれない」と答えた。「合理的な評価を行う前にさらに詳しい情報が必要だ」とし、オスプレイに搭載されているデータ記録システムの情報を解析すべきだとの見方を示した。
オスプレイの事故について「ティルトローター(傾斜式回転翼)を実現させるために、空気力学的に妥協した設計になっているため事故率が高くなっている」とした上で「V22の高速性や垂直離着陸能力などの軍事的優位性は、事故に対する脆弱性によって相殺されている」とした。 (松堂秀樹、沖田有吾)