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【記者ノート】報じない本土の責任は 南彰(暮らし報道グループ)<歩く民主主義 100の声~那覇空港編~> 


【記者ノート】報じない本土の責任は 南彰(暮らし報道グループ)<歩く民主主義 100の声~那覇空港編~> 
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1日目の調査を終えた12月27日夜。視聴率の高さで有名なテレビの報道番組を見て愕然(がくぜん)とした。

 トップニュースは民間デパートの「崩れたクリスマスケーキ」。国によって、地方自治や民主主義が崩されている「辺野古代執行」のニュースは、約1時間の放送枠で1秒も流れなかった。

 この日は玉城デニー知事が代執行を巡り、最高裁への上告を表明。「沖縄だけの問題に矮小(わいしょう)化せず報道してほしい」と記者会見で訴えていたにもかかわらずだ。番組関係者は「沖縄ごとになっている」と話す。

 昨年から始めた「歩く民主主義 100の声」の取材で感じるのは、本土の在住者・出身者が「沖縄にも辺野古賛成の人がいる」「反対は一部のグループでは」と口にして、沖縄への基地負担押しつけを正当化する人が少なくないことだ。

 でも、「100の声」の1回目の記事(昨年12月6日付)に目を通してほしい。騒音に苦しむ普天間飛行場周辺の住民も「辺野古反対」が多数。「賛成」と答えた人も苦渋の理由を語っていた。

 代執行という異常な先例を許しているのは、99%の有権者がいる本土の情報不足だ。本土メディアもこれ以上、不作為を重ねてはいけない。