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打組舞踊の世界 多彩に 男と女 掛け合いに技 国立劇場おきなわ琉舞公演


打組舞踊の世界 多彩に 男と女 掛け合いに技 国立劇場おきなわ琉舞公演 初代宮城能造の創作「花園」を披露する出演者ら
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 国立劇場おきなわの琉球舞踊公演「打組(うちくみ)舞踊の会」が4月20日、浦添市の同劇場で開かれた。重鎮から若手まで幅広く出演し、男女役などで対になる「打組舞踊」の世界を、創作舞踊を中心に多彩に披露した。

 初代玉城盛義による「打組むんじゅる」は男女対の打組舞踊だ。前川美智子、平田弘子、金城末子、島尻ひさみ、神山典子、平良恵子で初々しい掛け合いを披露した。

 伊良波尹吉の沖縄芝居「仲里節由来記」から抜粋した舞踊「仲里節」は、大田礼子と金城千夏が踊った。長年コンビを組んできた2人。視線の合わせ方や所作まで息ぴったりだった。

 初代宮城能造による「花園」は、花壇係の役人である里之子が花を育てる情景をモチーフにした。宇座仁一、嘉数道彦、宮城茂雄、宮城愛佳、大城一咲、大城真由美で男女対になって踊った。ターグ(水おけ)やニーブ(ひしゃく)で花に水をやるしぐさでは、やわらかな表情と細やかな所作が印象的で、里之子たちの心の温かさが伝わった。

 「かぬ下(しちゃ)の浜」は島袋光裕による創作。首里役人と名護の汀間村の娘との恋物語「汀間当」を元にした男女の打組舞踊を下地智子と上原なつきが舞った。暗がりの中、人目を忍んで連れ立つ場面から始まる踊りは、物語性がより際立ち、踊りの展開に見入った。

 打組舞踊でおなじみの「谷茶前」は、松含流の山城小百合、比嘉智香子、野原エリサ、松川好美の4人でにぎやかに披露した。

フィナーレで「川平節」を披露する渡久地美代子(左)と古謝弘子=4月20日、浦添市の国立劇場おきなわ

 渡久地美代子と古謝弘子の「川平節」がフィナーレを飾った。「川平節」での共演は初という。愛を伝え続ける士族の男と断る遊女の掛け合いは、最後は男にほだされた遊女が一緒に帰るという展開。抑制的でありながら、ふとした表情やしぐさに思いが見える。舞踊と芝居の絶妙なあんばいに、経験と技が光った。

 公演はこのほか、「相合傘」を新垣舞愛、時田美夢、大屋柚稀乃、新城里季、「越来よー」を金城初枝、西銘孝子、「夕千鳥」を仲村圭央、赤崎恭子、「加那よー天川」を山田玲子、石川詩子、「金細工」を眞境名結子、仲程めぐみ、仲宗根千秋、「南洋浜千鳥」を伊波正江、西村利江子が踊った。

 (田吹遥子)