模様や色の多様性が人気☆
海の生きものの中でも、特にカラフルで人気なのがウミウシの仲間です。同じ種類でも色や模様に違いがあったりして、多様性が高いのが人気の秘密。
一般に、生きものがカラフルになる理由はいくつか知られています。自分と同じ種類と他の種類を見分けるとか、自分を目立たせて、パートナーに自分を格好良く見せるためとか。自分が毒を持っている種類は、天敵に対して、自分を食べちゃいけないよ、という目印にしている場合もあります。
ところで、ウミウシってどんな風にパートナーを選ぶのか…実は、よくわかりません。ウミウシの仲間は雌雄同体。一人で卵も精子も作ります。体の右側に「両性生殖門」というところがあって、お互い体の右側同士をくっつけて精子を交換し、お互いが受精して卵を産みます。たまに3匹でうまく精子を交換し合うこともあるそう。仲の良い三角関係? ともかく、格好いい相手を選ぶのではなさそうです。
そもそもウミウシに色が見えているのか?というと、これもよく分からない。ウミウシと呼ばれるグループには、目を持つ仲間と、持たない仲間がいます。今回の映像のウミウシたちには、目がありません。目を持つ仲間も、とても小さな黒い点のような目があるだけで、おそらく光を感じる程度ではないかな。
ウミウシは、エサが持っている毒を体にためることがあるので、天敵対策でカラフルになっている可能性は大きいです。でも、ウミウシ自身は自分がカラフルだと分かっているのかな…いつかウミウシに聞いてみたいですね。
Vol. 44 ハスイロウミウシ
Goniobranchus precious
● 目:裸鰓目 Nudibranchia
● 科:イロウミウシ科 Chromodorididae
● 属:アデヤカイロウミウシ属 Goniobranchus
動画撮影:
ハスイロウミウシ 2021年6月25日(浦添市 西海岸パルコ前)
コールマンウミウシ 2021年4月28日(浦添市 伊奈武瀬)
コイボウミウシ 2021年8月9日(浦添市 西海岸パルコ前)
動画撮影・編集&執筆
鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)
琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。
鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)
東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。
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