きっかけは米NYゲイバーでの出来事だった ◇アメリカから見た! 沖縄ZAHAHAレポート(12)

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今年も6月のプライド月間(Pride Month)がやってきました。世界各地でLGBTQ(同性愛者のレズビアンやゲイ、両性愛者のバイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアル・マイノリティの総称)の権利や社会への理解を広げるためのさまざまなイベントが開催される季節。渡米直後だった昨年の今頃は、初めて見た首都ワシントンD.C.でのパレードやフェスティバルの様子(https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-568452.html)を紹介しました。

2018年のD.C.の祭典、キャピタル・プライド(Capital Pride)は7〜10日。今年は友人からのお誘いを受け、D.C.のゲイタウン、デュポンサークルからローガンサークルまでの約1.5マイルを練り歩くパレードに参加しました! そこで感じたのは、「ハッピー・プライド(Happy Pride)!」と声を掛け合い、誰もが誇りを持って生きることを祝福し合う一体感でした。


キャピタル・プライドのパレードに参加するスミソニアン・ファミリー


国旗もレインボーカラーに


パレードが行われた6月9日。スミソニアンの博物館や図書館、動物園などで働くLGBTQ当事者やそのパートナー、家族、友人、当事者の活動を支援するアライ(Ally)らでつくるグループ「スミソニアン・ファミリー」にご一緒させていただき、パレードに参加することになりました。


イギリスの国旗、ユニオン・ジャックもレインボーカラー

多様性と受容性を掲げる国、カナダのパレードも華やか


沿道にちょこんと座る女の子は、道行く人にレインボーフラッグを手渡していました

夕方の集合時間に合わせてデュポンサークルに向かうと、既にパレードは始まっていました。イギリスやカナダの大使館関係者でしょうか、レインボー色のユニオン・ジャックやメープル・リーフの旗をたなびかせながら歩くグループに、沿道から大きな歓声が送られていました。

道中、すてきな女の子から手作りの?レインボーフラッグをプレゼントされました。

集合場所に到着したのは午後5時過ぎ。パレードには、200以上の団体や支援企業などがフロート(山車)や車を伴って参加するのですが、まだ多くが待機中。なかなか出番が回ってこない様子です。少し待ちくたびれながらも、でも、みなさん楽しそう。



スミソニアンのトラックには、スミソニアン動物園のパンダも一緒

待ち時間も音楽をがんがん鳴らして踊る美女たち


いよいよ出発!沿道も歩く人もみなハイテンション!

2時間近くの待ち時間を経て、ようやく出番に! クラクションを鳴らしながら、シャボン玉を飛ばしながら、スミソニアン・ファミリーもゆっくりと出発です。


スミソニアンのグループには、働く人や家族、パートナーなどさまざまなメンバーが一緒に

プライド月間のあいさつは、「ハッピー・プライド(Happy Pride)!」。パレードを歩く人も、沿道の参加者たちも、みな口々に叫びながら、旗を振ったり、ハートマークのサインをつくったり、一緒になって盛り上がります。沿道の人から「ゴー!スミソニアン!」と歓声があがりました。


笑顔とハートマークのサインで応援

トランプ大統領のキャッチフレーズ「Make America Great Again」を皮肉たっぷりにもじった「Make America Gay Again」と書かれたレインボーフラッグ

手を振りながら歩いていると、なんだか自分がスターになった気分? 歩く側も沿道の人たちも、みんなとにかく笑顔。ハイタッチしたり、ハグしたり、大人も子どもも、性別も、人種も、年齢も、出身国も関係なく、まるでみんな大きな一つの家族になったようです。

みんなが笑顔で迎えてくれる、こちらも笑顔で誰かを元気にする。街が虹色に染まるお祭り騒ぎの中で、なんだか日々の気が重くなるニュースや不条理に満ちた出来事を吹き飛ばすパワーが人々にあふれているのを感じました。



参加者、沿道の人々、ボランティアも一緒に


旗を振ったり、ハートマークで応えたり、沿道とコミュニケーション

昨年は沿道で見ながら、フロートから投げてもらうネックレスやTシャツやらをキャッチするのに夢中でしたが、今年はなぜか沿道の人たちからネックレスをもらったり、旗をもらったりと、まさに相互交流。パレードの運営がスムーズにいくよう、フロートを誘導したり、休憩所を設けたり、イベントには多くの人々がボランティアとしても参加しています。

警察もこの日はレインボー。支援企業には、銀行やホテル、飲食関連、スーパーマーケットなどが名前を連ね、さまざまな人、団体、機関のかかわりがあって祭典を楽しみ、支えていました。



警備や交通規制に当たるお巡りさんもレインボーフラッグ

Cardi Bの曲にノリノリだった女性のお巡りさんは、この後自転車でさっそうとパトロールに


「あなた自身を愛して」


サマータイムで日の長いD.C.も次第に夕暮れ時間。歩き終えた時には、午後8時半過ぎになっていました。足もくたくた、声もかさかさ、でもみんないい表情です。

パレード中、大きなレインボーフラッグを掲げて走り回り、沿道を盛り上げたブリットニーさんは、スミソニアンで働く婚約者のケルシーさんと共に参加。「今、どんな気持ちかって?すごく疲れて、とても誇りに感じているわ。そしてもちろん興奮している。すべての人々の尊厳が守られるように、と思いながら歩いたわ。最高の時間だった」と話しました。


パレードを終えたスミソニアン・ファミリーで記念撮影!

スミソニアンのラティーノ・センターで働くエイドリアンさんは「とても素晴らしかった。スミソニアン・ファミリーが一つになって、平等や愛を祝う。とても力を与えるものだと思う。今年で4度目くらいの参加だけど、毎年よりよくなっている」と笑顔で語り、パレードを通したメッセージとして「あなた自身を愛して、そしてそのままのあなたを愛してくれる人たちを愛して」という思いを教えてくれました。



約50年前の出来事から始まった


エルサルバドルの国旗を背中にまとった少年たち。トランプ政権下で、エルサルバドル移民たちへの在留資格打ち切りが問題になっています

今では世界各地で、「自分らしくありのままに生きる」ことを祝うプライド・パレードですが、そのきっかけとなったのは、1969年6月28日未明、ニューヨークで起きた「ストーンウォールの反乱」でした。当時、アメリカで同性愛は法律で禁止され、同性愛であることが見つかると逮捕され、罰金刑などを課せられる状況でした。

警察によるゲイバーへの踏み込み捜査は定期的に行われていましたが、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ地区にある「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」というゲイバーに警察の手入れが入った際、その場にいた同性愛者らは警察の度重なる弾圧や侮辱に怒りを爆発させ、抵抗し、ついに5日間にわたる暴動につながりました。

マイノリティの同性愛者らが初めて警察に立ち向かったこの反乱をきっかけに、その後のゲイ解放運動、セクシュアル・マイノリティの人権運動、パレードにつながりました。2019年は「ストーンウォールの反乱」から50年を迎えます。

自分らしくありのまま生きることに誇りを持って歩くパレード。お祭りが終わると、またみんな日々の生活に戻ります。そして、今もいろんな不平等や差別に直面することもあるかもしれません。だからこそ、こうやって年に1度、「ハッピー・プライド」と声をかけ合い、お互いを力づけ、偏見や差別、弾圧を許さないと声を上げ続けることが大事だと確認するのかもしれません。




 座波幸代(ざは・ゆきよ)  政経部経済担当、社会部、教育に新聞を活用するNIE推進室、琉球新報Style編集部をへて、2017年4月からワシントン特派員。女性の視点から見る社会やダイバーシティーに興味があります。

 




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