<金口木舌>中村哲さんの生き方に学ぶ


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 「すべて剣をとるものは剣にて滅ぶ」。伊江島の土地闘争のリーダー、故・阿波根昌鴻さんが反戦平和資料館ヌチドゥタカラの家の前に掲げた言葉だ

▼「聖書と歴史から学んだことである」と著書「命こそ宝」に記す。阿波根さんは沖縄戦で一人息子を失った。戦後は軍用地契約に応じない「反戦地主」として非暴力の闘いを続けた
▼阿波根さんの生き方は、非政府組織(NGO)「ペシャワール会」代表の中村哲さんに重なる。「非暴力による平和の貢献として沖縄県民が認めてくれた」「暴力によって立つ者が暴力によって滅びることは、人類史上の鉄則である」。2002年、第1回沖縄平和賞の授賞式でこう述べた
▼1984年、パキスタンのペシャワールに赴任し難民らの治療に従事する。その後、アフガニスタンでかんがい事業や医療支援に尽力した
▼活動は危険と隣り合わせだった。アフガン東部で銃撃され、志半ばで命を奪われた。無念でならない。この地域は反政府武装勢力タリバン、過激派組織「イスラム国」も活動していて治安が悪い
▼アフガンの復興支援について中村さんは、近代国家の強制ではなく、現地の慣習や風土、文化を尊重し「一番いい治療法、一番いい生き方を準備するというのが私たちの仕事」と著書で説いた。平和主義を貫いた医師の理念を深く心に刻む。魂の安息を祈るばかりだ。