間近に響く米軍機の騒音を体感する。基地の建設工事で多くの人が立ち退きを強いられた村について映像で学ぶ。在韓米軍の再編で基地の拡張が続く韓国の平澤(ピョンテク)市で取り組まれている平和教育の様子だ
▼7日に宜野湾市で開かれたシンポジウムで、平澤平和運動センターのスタッフは「子どもたちそれぞれが考える平和について意見を述べてもらう。教え込むよりも考えてもらうことが大事だ」と述べていた
▼同じシンポジウムで、白い布の中央に描かれた赤い丸を多くの遺骨が取り巻いている絵が紹介された。画家の丸木位里、俊夫妻が描いた「日の丸」だ。夫妻は読谷村のチビチリガマであった「集団自決」(強制集団死)をテーマに、日の丸の赤に血の色、白に白骨の色を表現したという
▼絵を紹介したのは僧侶で元読谷村議の知花一昌(本名・昌一)さんだ。丸木夫妻が「沖縄戦の図」の作品群のうち「チビチリガマ」を描く際、知花さんを通して遺族らに絵のモデルを依頼した。その縁で絵が贈られた
▼ガマでは2017年、少年たちによる損壊事件があった。知花さんは少年たちを罰することよりも「平和教育が大切だ。たとえ伝わらなくても繰り返すことが私たちの責任だ」と訴えた
▼沖縄と韓国で平和教育に関わる人々の思いは、丸木夫妻が「沖縄戦の図」に込めた平和への願いにも通じているはずだ。