<金口木舌>大学生の窮状をに耳を傾けて


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 コロナ禍で4人に1人の大学生が秋学期以降の休学を視野に入れ、1割は退学も検討―。立命館大学の学生新聞社による調査で深刻な実態が浮き彫りになっている。対面授業や課外活動の制限に加え、背景に家庭の経済状況への不安があるとみられている

▼県内でも同様の傾向が出てきそうだ。大学教員から大学生の窮状を聞いた。所得水準の低い沖縄では、アルバイト収入を前提に進学する学生は少なくない。コロナ禍でアルバイト先が休業になり収入が激減、解雇された学生もいた
▼前出の教員は休学者の増加を心配している。日本の高等教育は家計に多くを頼る仕組みになっており学びの保障は盤石ではない。コロナ禍で学びの土台が揺らいでいる
▼日本の教育費の公的負担の割合は経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中でも最下位クラス。本年度から高等教育無償化が始まっているが対象者は限られている
▼文部科学省が、全国の全ての大学・高等専門学校にオンライン授業の実施状況を調査したところ6月1日時点で、遠隔授業のみを導入している学校は6割を占めた。対面と遠隔を併用する学校は3割にとどまった
▼大学生活の醍醐味(だいごみ)は学びを含むキャンパスライフにある。3密を避けた対面授業の実施や分散登校など大学には創意工夫、政府には学びを保障するための財政的な後押しが求められる。