<金口木舌>32軍司令部壕と平和への誓い

 8月末、那覇市の首里城周辺を通り掛かると、見慣れた守礼門に違和感を覚えた。「守礼之邦」と刻まれた扁額が見当たらない。台風9号に向けた対策で取り外されていた

▼続く台風10号後の9月7日、扁額が再設置された。新型コロナウイルスの流行拡大に伴う県独自の緊急事態宣言も解除され、首里城公園はこの日営業を再開した。設置作業を観光客も見守ったが、その数はまばらだった
▼守礼門近くには第32軍司令部壕への第1坑口などがある。登城するための最初の正門・歓会門に向かう道からそれる場所にある。設置された説明板前で立ち止まる人はなお少ない
▼昨年焼失した首里城正殿などの主要施設の再建に向けた動きに合わせ、壕の保存・内部公開を求める県民の声も再び高まっている。16日、第32軍司令部壕保存・公開を求める会が県に要請した
▼32軍司令部壕は悲惨な沖縄戦を招いた「生き証人」であり、平和の尊さを伝える戦争遺跡。戦争体験者も名を連ねる会のメンバーはそう訴え、文化財指定などを要請した。那覇市議会も6月、保存を求める意見書を全会一致で可決した
▼県は今後検討委員会を設置し、保存へ前向きな姿勢だ。一方、議論されながら停滞した経緯もある。75年余前、戦禍という暴風が県民の4人に1人の命を奪った。「平和」の看板を二度と外さぬ。その誓いを示す時である。



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