<金口木舌>市民性育む教育を


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 イギリスのEU離脱から1年を迎えた。世界に衝撃を与えた国民投票を現地で取材した

▼国内世論は残留と離脱で真っ二つに割れた。連日の討論会では、残留派の首相と離脱派の政治家が激論を交わし、市民から直接質問を受ける場面も。若者も活発に討論会を企画し、民主主義の根付きを実感した
▼「君臨すれども統治せず」というフレーズは、イギリスの政治体制を表す有名な言葉。君主でも法の支配を重視し、時の政治権力を制限する現代の立憲主義をつくり上げてきた
▼しかし、そんなイギリスも1990年代、若者の政治への無関心で民主主義の危機に直面した。政府は2002年、世界に先駆けて「シチズンシップ(市民性)教育」を必修化。社会の問題を自分と結びつけて考え、取り組む教育で、最近の選挙では若者の投票率も上がっている
▼日本での導入はまだだが、先行し取り組みを進める自治体も。県内では23日に二つの市長選をはじめ、今年は多くの選挙を控える。若者への投票呼び掛けだけでなく、市民性を育む教育にも期待したい。