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軟弱地盤、埋め立て申請前に把握 沖縄防衛局が07年に報告書「広く、厚く分布」 追加調査せず手続き進める


軟弱地盤、埋め立て申請前に把握 沖縄防衛局が07年に報告書「広く、厚く分布」 追加調査せず手続き進める 防衛省沖縄防衛局と委託業者が2007年にまとめた地層調査の報告書のコピー。「軟弱な沖積層が広く、厚く分布」という記述がある
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 名護市辺野古の米軍基地建設を巡り防衛省沖縄防衛局が、埋め立て申請前の2007年の段階の報告書で、海底に軟弱な地層が存在し基地の設計には追加のボーリング調査などが必要と結論付けていたことが1日、分かった。防衛局は実際には、追加調査をしないまま地盤に大きな問題はないと説明して手続きを進め、県から13年に埋め立て承認を得た。申請内容が適切だったのかどうかを問う声が強まる可能性がある。

 県の担当者は取材に、事実関係を把握していないとした上で「国側に詳細を確認し対応を検討したい」と述べた。

 共同通信は、防衛局と委託業者が07年にまとめた地層調査の報告書を情報公開請求で入手した。報告書は、新たに実施した音波探査と過去の調査を合わせて分析し、辺野古周辺の海底に「軟弱な沖積層が広く、厚く分布する」との見解を示した。一方、大浦湾側の地質構造を把握するには依然、データが少ないことなどから「設計・施工には(沖積層の)分布状況の精度向上と性状把握が必要」と指摘した。

 具体的には、追加のボーリング調査で「今回の探査結果を検証・修正」するほか、採取した土の強度などを詳しく評価し「設計・施工に必要な基礎資料を提供する必要がある」と記している。だが防衛局は13年の埋め立て申請までにこうした追加調査をしなかった。

 申請書には、長期にわたり沈下する軟弱層は確認されていないと記載、設置する護岸の種類、工法などもそれを前提とする内容にした。07年報告書の内容は一部を示すにとどまり、軟弱層の詳細調査の必要性に関する記述は盛り込んでいない。

 防衛局は14年にボーリング調査を開始。結果を踏まえ大浦湾で軟弱地盤が確認され改良工事が必要だと説明したのは、土砂投入を始めた後の19年だった。 (共同通信)

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