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97年調査で存在把握か 政府、19年まで軟弱地盤認めず


97年調査で存在把握か 政府、19年まで軟弱地盤認めず 多くの作業船が見える大浦湾。奥は埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸=9月26日午後、名護市瀬嵩(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、大浦湾側の軟弱地盤は1997年に政府が実施した調査ですでにその存在の可能性を示唆する結果が示されていた。大浦湾の埋め立て予定区域に軟弱地盤が広がっていることが広く知られたのは2018年だ。土木技師の北上田毅氏が情報公開請求で得た資料を基に埋め立て予定区域にあると指摘。これを踏まえ、本紙は新基地建設の正当性を問題視してきたが、政府は2019年まで軟弱地盤の存在を認めてこなかった。

 97年の調査では大浦湾の水面下約90メートルまで、比較的新しい時代にできた、軟弱である可能性が高い地層(沖積層)が堆積していることが確認されていた。97年の調査地点は現在の埋め立て予定区域の外だが、同じ大浦湾内で、現在の埋め立て予定区域の中で軟弱地盤が最も深い水面下約90メートルに達する地点に近い。

 防衛局は2013年、軟弱地盤の存在を盛り込まずに埋め立て承認を申請し、仲井真弘多知事(当時)から承認を得た。この承認を根拠に現在も工事を進めている。

 政府は19年に軟弱地盤を公式に認め、20年に設計変更を県に申請した。工期は12年以上に延び、工費も9300億円以上に膨らんでいる。現在、国は県に代わって設計変更を承認する代執行訴訟を起こしている。07年の報告書で、当初の承認前から追加調査の必要性を認識しながら、その事実を伏せていたことが露呈した。当初の承認も設計変更も正当性が揺らぐ。 (明真南斗)