「世界観広げて」若者を映画で応援 寄贈鑑賞券の利用者1000人超える シアタードーナツ 沖縄


「世界観広げて」若者を映画で応援 寄贈鑑賞券の利用者1000人超える シアタードーナツ 沖縄 映画を見た学生たちの感想を掲示し、大切に保存している宮島真一さん=3月21日、沖縄市のシアタードーナツ・オキナワ
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【沖縄】沖縄市のシアタードーナツ・オキナワで大人が22歳以下の学生らに映画鑑賞券をプレゼントする「U―22チケット」を使って映画を見た子どもや学生が3月下旬までに千人を超えた。チケットは1枚700円で、中学生から22歳以下の若者や学生に映画鑑賞を贈る仕組み。同映画館は主に社会性のある作品を上映しており、多感な若者に世界観を広げてほしいと、代表の宮島真一さんが約2年前に導入した。

 映画館の壁には鑑賞した学生たちが感想を書き込んだチケットがたくさん貼られている。貼り付けられた感想は「この先の自分の人生で心の奥にずっと残る忘れられない映画になると思う」「私も(同じ環境の)友達のケアができたらと思った」などの言葉が並んでいた。

 宮島さんは、コロナ禍で学生が思うように学校に行けなかったり、小遣いを稼ぐアルバイトも制限されたりしている状況を見て、このチケットの導入を思い付いた。学生や子どもにコーヒーやタコライスをプレゼントするチケットもあったことから「映画でもできるのでは」と考えたという。

 先日もチケットを使って警察官志望の大学生が訪れ、貧困や暴力などについて描いた作品「遠いところ」を見た。宮島さんによると、学生は鑑賞後、犯罪を取り締まるだけでは解決しない社会問題の根深さを考え、熱く語っていたという。宮島さんは「社会に参加するきっかけになる映画はたくさんある。若い人たちに良い映画に触れて想像力を付けてほしい」と話した。 (島袋良太)