【写真でたどる】「見せる復興」着々と 首里城焼失4年 県民と築く新たな歴史


【写真でたどる】「見せる復興」着々と 首里城焼失4年 県民と築く新たな歴史
この記事を書いた人 Avatar photo 與那原 采󠄀恵

再建の過程に触れ、より親しみを

 沖縄のシンボルとして愛されていた首里城が火災で焼失してから、31日で4年が経過する。2022年11月3日に起工式が行われた正殿再建工事は、2026年秋の完成を目指して本格化している。国と県は今回の「令和の復元」で、「見せる復興」をテーマに掲げ、復旧・復元の過程の公開に力を入れる。その取り組みを紹介する。

2019年10月の火災で焼失した首里城。再建に向け、着々と工事が進む=2023年10月20日午前7時48分、那覇市首里(小型無人機で大城直也撮影)
2019年10月の火災で焼失した首里城。再建に向け、着々と工事が進む=2023年10月20日午前7時48分、那覇市首里(小型無人機で大城直也撮影)

 首里城火災から約1カ月後の2019年12月に開催された首里城復元のための関係閣僚会議で、「観光振興や復元過程の公開等に取り組む」との基本方針が決定した。

 国は「見せる復興」の一環として北殿側の城壁沿いに全長約140メートルの仮設デッキを整備した。21年10月末から一般開放され、首里城を訪れた見学客らが再建に向けた作業の様子を見ることができるようになった。また、23年8月には再建工事現場などを覆う「素屋根」が公開された。素屋根エリアの一部には一般の来場者が見学できる区画が設けられ、正殿の再建過程を間近で見学可能だ。見学区画では焼失した正殿の火災遺物や再建に使われる木材などに触ることもできる。

 県は首里城により親しんでもらおうと、首里城火災破損瓦などを活用したものづくり体験などイベントの開催や再建工事に関する展示品を公開している。

 首里杜館地下1階のガイダンスホールでは、3Dホログラムやインタラクティブプロジェクションマッピングによる空間演出などを行っており、首里城の歴史文化を感じることができる。

 10月30日からは子ども向けにタッチパネル型のゲームで歴史学習ができるコンテンツも導入された。

 再建工事では、首里城復興への寄付金を活用して建物の基礎となる礎石(そせき)や国王が着座する御差床(うさすか)部分の梁(はり)となる天井額木(てんじょうがくぎ)の木材、赤瓦などの工芸品を県が調達する。調達後、国に引き渡され、取り付けなどの工事が行われる。県と国が連携し、正殿再建へと一歩ずつ近づいていくこととなる。

 首里城復興課の知念秀起課長は「実際に足を運んで復元過程を見てもらい、興味関心を持ってもらうことが首里城復興の機運醸成につながる」と話し、再建までの過程も楽しんでもらうことを期待している。

 首里城の正殿再建は26年秋を予定している。23年9月には正殿の骨組みとなる柱や梁を組み立てる工事が始まり、同年内には全ての柱を建て終える見込みだ。

 (與那原采恵)

報道陣に初めて公開された首里城の奉神門から見える正殿周辺=2019年12月17日(ジャン松元撮影)
報道陣に初めて公開された首里城の奉神門から見える正殿周辺=2019年12月17日(ジャン松元撮影)
有料区域の内覧会で、焼け残った龍の装飾などを見学する地元住民ら=2020年6月11日(大城直也撮影)
有料区域の内覧会で、焼け残った龍の装飾などを見学する地元住民ら=2020年6月11日(大城直也撮影)
奉神門の瓦を葺く作業員=2021年1月18日、那覇市の首里城公園(喜瀬守昭撮影)
奉神門の瓦を葺く作業員=2021年1月18日、那覇市の首里城公園(喜瀬守昭撮影)
奉神門(左奥)の近くに建設が進む木材倉庫・加工場=2022年5月11日(ジャン松元撮影)
奉神門(左奥)の近くに建設が進む木材倉庫・加工場=2022年5月11日(ジャン松元撮影)
手作業で進められる正殿遺構を砂で埋め戻す保護作業=2022年6月3日(小川昌宏撮影)
手作業で進められる正殿遺構を砂で埋め戻す保護作業=2022年6月3日(小川昌宏撮影)
木材倉庫に搬入された首里城正殿の復元に使われる大径材=2022年10月12日(ジャン松元撮影)
木材倉庫に搬入された首里城正殿の復元に使われる大径材=2022年10月12日(ジャン松元撮影)
海沿いの道を走り、那覇に向かう御材木を掲載した車両=2022年10月29日、名護市許田(小川昌宏撮影)
海沿いの道を走り、那覇に向かう御材木を掲載した車両=2022年10月29日、名護市許田(小川昌宏撮影)
大勢の人たちが見つめる中、御材木を載せて首里城に向かう木遣行列=2022年11月3日、那覇市首里(小川昌宏撮影)
大勢の人たちが見つめる中、御材木を載せて首里城に向かう木遣行列=2022年11月3日、那覇市首里(小川昌宏撮影)
正殿を覆う素屋根の工事現場=2023年4月11日(大城直也撮影)
正殿を覆う素屋根の工事現場=2023年4月11日(大城直也撮影)
ベニヤ板に原寸図を描く棟梁=2023年3月22日(喜瀬守昭撮影)
ベニヤ板に原寸図を描く棟梁=2023年3月22日(喜瀬守昭撮影)
巣屋根の中で建てられる正殿の骨組みとなる柱=2023年9月4日(喜瀬守昭撮影)
巣屋根の中で建てられる正殿の骨組みとなる柱=2023年9月4日(喜瀬守昭撮影)
木材倉庫・原寸場に搬入された龍などの彫刻が施された天井額木=2023年8月7日(又吉康秀撮影)
木材倉庫・原寸場に搬入された龍などの彫刻が施された天井額木=2023年8月7日(又吉康秀撮影)