再建の過程に触れ、より親しみを
沖縄のシンボルとして愛されていた首里城が火災で焼失してから、31日で4年が経過する。2022年11月3日に起工式が行われた正殿再建工事は、2026年秋の完成を目指して本格化している。国と県は今回の「令和の復元」で、「見せる復興」をテーマに掲げ、復旧・復元の過程の公開に力を入れる。その取り組みを紹介する。
首里城火災から約1カ月後の2019年12月に開催された首里城復元のための関係閣僚会議で、「観光振興や復元過程の公開等に取り組む」との基本方針が決定した。
国は「見せる復興」の一環として北殿側の城壁沿いに全長約140メートルの仮設デッキを整備した。21年10月末から一般開放され、首里城を訪れた見学客らが再建に向けた作業の様子を見ることができるようになった。また、23年8月には再建工事現場などを覆う「素屋根」が公開された。素屋根エリアの一部には一般の来場者が見学できる区画が設けられ、正殿の再建過程を間近で見学可能だ。見学区画では焼失した正殿の火災遺物や再建に使われる木材などに触ることもできる。
県は首里城により親しんでもらおうと、首里城火災破損瓦などを活用したものづくり体験などイベントの開催や再建工事に関する展示品を公開している。
首里杜館地下1階のガイダンスホールでは、3Dホログラムやインタラクティブプロジェクションマッピングによる空間演出などを行っており、首里城の歴史文化を感じることができる。
10月30日からは子ども向けにタッチパネル型のゲームで歴史学習ができるコンテンツも導入された。
再建工事では、首里城復興への寄付金を活用して建物の基礎となる礎石(そせき)や国王が着座する御差床(うさすか)部分の梁(はり)となる天井額木(てんじょうがくぎ)の木材、赤瓦などの工芸品を県が調達する。調達後、国に引き渡され、取り付けなどの工事が行われる。県と国が連携し、正殿再建へと一歩ずつ近づいていくこととなる。
首里城復興課の知念秀起課長は「実際に足を運んで復元過程を見てもらい、興味関心を持ってもらうことが首里城復興の機運醸成につながる」と話し、再建までの過程も楽しんでもらうことを期待している。
首里城の正殿再建は26年秋を予定している。23年9月には正殿の骨組みとなる柱や梁を組み立てる工事が始まり、同年内には全ての柱を建て終える見込みだ。
(與那原采恵)