那覇市出身のバレエアーティスト、緑間玲貴が11月11日、三重県の皇大神宮(伊勢神宮)の内宮にある参集殿能舞台で、自身が演出、振り付けしたバレエを奉納した。創建以来およそ2千年の皇大神宮でバレエの奉納は初めて。緑間は「バレエが自国の文化として認められた」と語った。緑間が演出、振り付けする「トコイリヤ RYOKI to AI vol.11」の一環として、2021年に東京の新国立劇場で初披露となった古事記の剣の伝承をバレエ作品化した「御佩劍(みはかし)」より新作を奉納した。
「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」誕生の秘話を語る第1番「バレエ『ビゼーティン』七つの星の物語」(パイロット版)と、古事記に登場する「ヤマトタケルの剣伝説」に能楽の様式や「おもろさうし」を取り入れた第3番「ヤマトタケルの剣伝説」(奉納特別版)を披露した。
緑間は「バレエの世界にとっても大きなことで、沖縄の人間としてもとても誇らしい。バレエを先導してと言うのは恐れ多いが、恥ずかしくないよう務められたと思う」と手応えを感じていた。
共に舞台に立った前田奈美甫はトーシューズをはき能舞台に立った。「能舞台を靴で立つなんて最初は無理だと思っていたが、神宮の方から声をかけていただき安心して舞台に立てた。貴重な経験だった。本当にありがたい。何と言ったらいいか分からない感情で、すごくいっぱいになった」と振り返った。
11月3日の「首里城復興祭」でも、首里城下之御庭でバレエ「御佩劍」を奉納した。
(田中芳)