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「玉扇の舞」伝統を継承 玉城流玉扇会の公演「寄らてぃ遊ば」 三代目家元の独舞、緩急つけ圧巻


社会
「玉扇の舞」伝統を継承 玉城流玉扇会の公演「寄らてぃ遊ば」 三代目家元の独舞、緩急つけ圧巻 師範や教師の世代が踊り継いだ「玉扇の舞」=9日、琉球新報ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 玉城流玉扇会による公演「寄らてぃ遊ば」が9日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。玉城盛義三代目家元をはじめ、会主から師範、教師や会員まで総勢約80人が出演した。玉城秀子二代目家元が創作した「玉扇の舞」は、師範や教師を中心とした世代が初めて披露し、玉扇会の伝統をしっかりと継承した。

 秀子二代目家元が1964年に創作した「愛(かぬ)しゃ花」は男踊と女踊の4組のペアが舞った。「ゆいさー」のみずみずしいかけ声が踊りに彩りを添えた。

 「鳩間節」は、傘踊りと手踊りの舞が交差するような動きを見せ、観客を楽しませた。美男・美女とそうでない男女が登場しコミカルに展開する舞踊劇「馬山川(ばざんがー)」は、会主と師範が熟練の技芸を見せた。特に玉城靜江が演じる男は、コロコロと変わる表情と動作が多くの人の笑いを誘った。

 第2部の始まりを飾った「玉扇の舞」は、照喜名朝一作詞、秀子選曲、振り付けの1975年の作品。威厳と華やかさを持ち合わせた男踊の群舞は、玉扇会を代表する舞踊だ。大事な舞を、今回初めて盛義三代目家元を中心に師範と教師らが担った。

 「恋しクガナー」は、八重山舞踊を元にした踊り。踊り手が手に持ったジンナークーのシャラシャラとした音と箏のきらめく旋律、神秘的な舞が幻想的な世界へと誘った。

 今回唯一の独舞は、盛義三代目家元による「高平良万歳」。二段ガマクで肩の動きが大きく感じたが、迫力ある動作でありながら足音一つしない、緩急付けた演舞は圧巻だった。フィナーレは「あやぐ」でにぎやかに締めた。

 今回の公演は、一般の会員も多く出演した。一部、振りがそろわない部分やミスも見えたが、会員全員で玉扇会を継承しようという意気込みも感じた舞台だった。

 (田吹遥子)