第13回八重山古典芸能コンクール新人賞の合格発表が5日、那覇市泉崎の琉球新報社であり、受験のため英国から来沖した平川誠さん(51)が合格した。平川さんは英国と沖縄をつないだリモートでの稽古と個人練習を重ね、13年ぶりに受験した。「海外の人々が沖縄の文化・音楽に抱く愛情は強い。それに応えなければと思って三線をやっている」と思いを語る。
平川さんは那覇市出身。三線は24歳の頃から那覇市の仲大底博也研究所で学んでいた。2011年に受けた同コンクールは不合格だった。
14年から医師として、ロンドンにある日系の病院に勤めるため英国に渡った。現地での生活で「アイデンティティーを考えることが多くなった」という。三線へのモチベーションが変わり、仲大底さんによる月2回のリモートでの稽古に励み、暇さえあれば三線を触る生活を送った。年に1回、帰省するときはほぼ毎日研究所に通った。努力の末につかんだ新人賞だった。
平川さんが所属するロンドン沖縄三線会は、2009年から英国沖縄県人会とともに「OKINAWA DAY」を主催している。エイサーや空手、民謡などを披露するほか、会場に並ぶ沖縄食材もすぐ完売になるほどの盛況のようだ。
平川さんは自身も含め「沖縄の文化・音楽の良さを沖縄の人がもっと理解し、現地の人と共有できれば距離を超えて近づくことができる」と話す。「沖縄の人が欧州でイベントを頑張っていることを広めたい」と意気込んだ。
(嘉手苅友也)