琉球王朝時代の歴史や文化を体感できる第59回「琉球王朝祭り首里」(首里振興会主催)の古式行列が3日、那覇市の首里城公園で開催された。行列は、国の安寧や豊作を祈願するため、国王が正月に城下にある円覚寺、天王寺、天界寺を巡る「三ヶ寺参詣行幸」を再現したもの。先頭の諷仲門(うてーなかじょう)に続き、摂政や国王、王妃などが厳かに練り歩く姿に、地元住民や観光客などがカメラやスマートフォンを向けていた。
古式行列には約180人が参加した。続いて龍潭通りで開催された祝賀パレードには地元自治会や旗頭団体など約1383人が参加。歴史を継承する青年らの掛け声や太鼓の響きで城下町がにぎわった。
午後0時50分、国王と王妃が首里城の奉神門から現れ、先導する役人に続いて歩き始めた。路次楽隊の演奏が響く中、厳かに進む行列を多くの人々が静かに見つめた。
初めて奉神門前で古式行列を見学した男性(40)は妻(39)と次女(5)と一緒に訪れた。首里城火災があった2019年に生まれた次女が首里城に興味津々で同公園の年間パスポートも買ったという。妻は次女に「将来は王妃になりたいんだよね」と語りかけると、次女は恥ずかしがって男性のズボンに顔を埋めていた。
古式行列が龍潭通りに入る頃には、沿道は多くの家族連れで混雑した。祝賀パレードも行われ、首里高校吹奏楽部の演奏を先頭に地元自治会の旗頭も続いた。秋晴れの空に旗頭が持ち上げられると、爆竹や指笛、「さーさーさーさー」の力強い掛け声が響いた。
首里振興会の玉那覇美佐子理事長は「コロナ禍を経て2年目。ようやく満足いく内容で開催できた」と笑顔を見せた。