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ペーパーレス化で新たな問題 ツールの置き換え、業務取捨を <けいざい風水>


ペーパーレス化で新たな問題 ツールの置き換え、業務取捨を <けいざい風水>
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 紙ストローの使用には慣れましたか? プラスチックごみ削減を目的とした、紙製品への置き換え事例の一つです。90年代は紙の大量消費による森林伐採が問題視されていましたが、現在は再生利用技術の発展や企業のペーパーレス化により紙の使用量が抑えられ、紙製品への置き換えが行えるまでになっています。

 自社でもこれまで業務のペーパーレス化を進めてきました。電子申請システムを導入し、申請から承認まで全てパソコンで完結しています。紙に印鑑を押してもらうために上司を探したり、拠点の違う部署に紙を回覧したりする姿はほとんど見なくなりました。

 しかし、電子化によって直面した新たな問題もあります。紙で行っていた業務を電子データに置き換えた結果、資料を電子ファイルとして取り込むことが増え、サーバーのストレージ容量が圧迫されつつあります。

 これまで業務改善としてペーパーレス化をひたすらに進めてきましたが、大事なのは手段を「置き換える」ことではなく、業務自体を「なくす」ことであると改めて気付くことができました。

業務改善におけるECRSの4原則
業務改善におけるECRSの4原則

 紙があちこちに運ばれる時間を削減できたことは大きな時間短縮を生んでいます。しかし、目的のために必要以上の資料をそろえたり、一つの業務を管理するための業務がいくつも生まれたり、そうした実態を見ずに紙の業務を電子に置き換えても、使用する資源が変わるだけで本当の業務改善にはつながりません。

 皆さまもぜひ、手段やツールの変更だけにこだわらず、業務プロセスを見直して無駄な業務自体をなくすことを目指してみてはいかがでしょうか。

(沖縄銀行業務革新部調査役 新井英治)