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伊計島特産の黄金イモでシラヒゲウニの陸上養殖 うるま市の久米水産、ブランド化目指す


伊計島特産の黄金イモでシラヒゲウニの陸上養殖 うるま市の久米水産、ブランド化目指す 黄金イモを使って養殖したシラヒゲウニ
この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎

 うるま市宮城島で魚類養殖を手掛ける久米水産(久米清一社長)はこの夏から、伊計島特産の黄金(くがに)イモを餌に使ったシラヒゲウニの陸上養殖を始めた。同社によると黄金イモを餌に使うことで身の発色が良く、濃厚で甘みのある味になる。近年、県内でシラヒゲウニの陸上養殖が増える中、「煌金(こうきん)ウニ」の名前を商標登録を出願しており、ブランド化を図る。今年7月に種苗1万匹を県から購入して養殖を開始した。早ければ年内に販売する計画。

うるま市伊計島産の黄金イモを使ってシラヒゲウニの陸上養殖を始めた久米水産の久米清一社長=12日、うるま市宮城島の池味漁港

 現在、シラヒゲウニは仲買段階で1個300~千円で取引されているが、ブランド化で1個千円以上での販売を目指す。

 池味漁港にある久米水産養殖場の国吉恵美所長によると、餌は天然のシラヒゲウニが食べる海藻のホンダワラの他に、黄金イモやクワの葉などを与えている。陸上水槽には海水を引き、黄金イモは伊計島の農家から提供を受けている。 

 久米水産は2006年設立。ヤイトハタ(ミーバイ)やリュウキュウスギなどの養殖をしてきた。一方、21年に大量の軽石が沖縄に漂着した際、海中養殖のスギが大量に死んだこともあり、リスク分散のため陸上養殖にも注力することを決意。シラヒゲウニの養殖を始めた。

 県内のシラヒゲウニは170年代のピーク時には年間2千㌧以上の収穫があったが、近年は千分の1程度にまで落ち込み、ここ数年は資源保護のための禁漁の影響もあって統計上ゼロが続いている。代わりに陸上養殖を模索する動きが活発化し、県も本年度からシラヒゲウニの陸上養殖支援事業を新たに始めた。

 久米社長は「軌道に乗れば生産量を拡大し、自分たちで種苗生産もしていきたい」とした上で「昔はこの辺りにもウニがたくさんいた。将来的には放流もし、特産品のシラヒゲウニを復活させたい」と話した。

(島袋良太)