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上昇する賃貸物件の家賃 建設資材高騰で中古物件も影響<けいざい風水>


上昇する賃貸物件の家賃 建設資材高騰で中古物件も影響<けいざい風水>
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 8月に2022年度の沖縄県の建築単価が公表されました。建設資材の価格高騰などが要因となり、1平方メートル当たりの単価は全用途、住宅、産業用ともに過去最高となりました。上昇幅は、事務所や店舗、工場などの産業用が最高となりましたが、多くの県民にとって直接的な影響があるのは住宅に関連する費用の上昇かと思われます。

 新たに住宅を建設する場合はその費用、賃貸物件に住む方は家賃に影響を及ぼします。特に、全国に比べて貸家に居住する人の割合が大きい沖縄県においては賃貸物件の家賃上昇に影響を受ける方も多いのではないでしょうか。

 図は、過去5年間のタイプ別、新築・中古別の賃料水準の推移です。年ごとに上昇・下落の波はありますが、全てのタイプにおいて5年前よりも賃料水準が上昇しています。新築物件は上昇した建築価格で建てられるため賃料上昇のイメージがしやすいかと思われますが、中古物件も影響を受けます。建築価格が上昇すると新築の着工戸数が減り、地域内の供給を需要が上回ることで中古物件の賃料が引き上げられるなどの影響を受けることがあるからです。

 もちろん、賃料水準には物件の立地、内部設備などさまざまな要素が影響するため、建築費の高騰だけが賃料水準を引き上げた訳ではありません。しかし、これから引っ越しなどを予定されている方々は過去の経験などから想定されていた家賃では希望する部屋を借りられない可能性があります。転居のシーズンとなる年度末はまだ先ですが、少し早めに計画を練り始めても良いのではないでしょうか。

 (おきぎん経済研究研究員 小嶺貴史)