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本当に低い?沖縄の正規雇用比率 実際の雇用状況の精査を <けいざい風水>


本当に低い?沖縄の正規雇用比率 実際の雇用状況の精査を <けいざい風水>
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 沖縄の社会課題である低賃金や低生産性の背景として、よく正規雇用比率の低さ(契約社員やパートなどの非正規雇用者が多いこと)が挙げられます。総務省「令和4(2022)年就業構造基本調査」によると、県の正規雇用比率は60・4%となっています。全国平均は63・1%であり、平均よりも2・7%低い結果となっています。

 2・7%の差と聞くとあまり変わらないようにも思えますが、都道府県別にみると41位と低水準にあります。ただし、12年、17年に行われた過去の同調査では全国47位と最下位であったことを踏まえると、大きく改善したとも言えるかもしれません。

 「正規雇用比率が低い」と言うと、正規雇用者が少ないように思われることもありますが、実はそうではありません。比率を業種別にみてみると、「製造業(全国との差は▲16・2%)」や「情報通信業(▲13・2%)」、「建設業(▲7・5%)」などで全国よりも比率が低くなっていますが、一方で、「卸・小売業(▲0・8%)」では差はみられず、「宿泊業、飲食サービス業(15・0%)」や「生活関連サービス業、娯楽業(6・5%)」においては、全国よりも比率が高い結果となっています。(※▲はマイナス)

 正規雇用比率を上げることは大切です。全ての雇用者に社員登用などの適切な機会が与えられることが必要とされています。ただし、正規雇用比率の高い低いといった数値だけにとらわれるのではなく、雇用者の実質的な所得水準の向上や働きやすさなど、実際の雇用環境の状況についてもしっかりと見詰めていくことが大切だと考えます。

 (おきぎん経済研究所 研究員 與那覇徹也)