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子どもの貧困施策における経済的リターン 就業改善で社会的損失抑える <けいざい風水>


子どもの貧困施策における経済的リターン 就業改善で社会的損失抑える <けいざい風水>
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 2023年4月1日にこども家庭庁が発足しました。新たな庁の創設により、いじめ、虐待などの多岐にわたる課題に対して、包摂的に取り組むことを目的としています。

 近年、沖縄県においても、子どもたちを取り巻く環境として相対的貧困の深刻さがクローズアップされています。県が15年に発表した実態調査によると、子どもの貧困率が29・9%(全国平均13・9%)と全国平均の約2倍、約3人に1人が貧困状態であるという現状が明らかになりました。

 この結果を受けて、沖縄県はこれまでさまざまな施策を展開してきました。その一つに子どもの居場所があります。22年4月1日時点、294カ所の子どもの居場所(子ども食堂など)が設置されており、ライフステージに応じた支援を行っています。

 このような子どもの貧困施策を講じる経済的意義について、日本財団は、子どもの貧困が社会に及ぼす影響を算出しています。

 子どもの貧困を放置した場合を現状シナリオとして算出した際、所得は22・6兆円、税や社会保障の財政収入は5・7兆円が見込まれます。

 しかし、改善シナリオとして、さまざまな施策を展開した場合、大卒者の増加や就業形態の改善によって、所得25・5兆円と増加するほか、所得増に伴い税・社会保障の財政収入は6・8兆円と増額が予想され、社会的損失を抑えることが可能となります。

 子どもの貧困について一緒に考えてみませんか。

 (おきぎん経済研究所研究員 玉城円)