prime

企業動向調査の活用方法 実態把握に向けた試み <けいざい風水>


企業動向調査の活用方法 実態把握に向けた試み <けいざい風水>
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 足下、人口動態の変化やテクノロジー深化による波が浸透し、企業を取り巻く環境は変容しながらより複雑化していくことが予想されます。実態把握についても既存手法等の再考やビックデータ等との連携可能性も踏まえた試みが求められます。

 当社が実施した企業動向調査では、企業から得られた個票として業況判断に関するテキストデータが蓄積されており、業況感と各経営指標の相関をとることで、回答企業の集合知を整理することができます。また、直近2023年7~9月期を起点に新型コロナウィルス感染症拡大で業況が落ち込んだ時点、それ以前の業況感の好調時点を比較することで、業況判断に係る指標の変化も併せて整理することができます。

 結果は、どの時点においても業況と強い相関を示しているのが「売上高」であり、次いで「採算」との強さもみてとれます。ちなみに前者の係数が0・8台、後者も0・5~0・8台と業況の好不調時でも順位はおおむね変わっておらず、回答企業の業況判断に大きく影響しています。

 そのほかに、「引き合い」や「売上単価」も0・4~0・6台を示しており、前者は将来的な売上につながる可能性を示し、後者は売上や採算に直接的につながると考えられることから、企業経営の先行きや足元の利益等の確保状況をみる手掛かりとなりそうです。 今後は、調査対象先である業種の拡充、指標改廃や発現時期(時間軸等も考慮する)等も検討し、さらに他情報との連携等の可能性も探っていくことで、企業の実態把握をさらに深めていく必要があります。

(おきぎん経済研究所 當銘栄一)