大塚化学(大阪)と横河電機(東京)の合弁会社で中分子医薬品の受託研究開発製造を手掛けるシンクレスト(神奈川県、徐鵬宇社長)は25日、うるま市の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター内に沖縄研究所を開所した。重要な事業拠点と位置付け、琉球大学と共同で中分子医薬品原料のコスト低減や高品質化のほか、安定供給や新薬につなげる新技術の開発を目指す。
シンクレストは2023年5月にサービス提供を開始したばかり。独自に開発した医薬品原料装置は従来に比べ、小型で速さや効率、品質とも性能を向上させることに成功したという。大塚化学は21年から琉球大学で創薬応用を目指し、先進的な化合物の合成技術を研究する有光暁准教授と共同研究を進めてきた。今回の研究所開設により沖縄で本格的な事業化に着手する。
シンクレストは3~5年で売上高50億円を計画。うち数十%を沖縄が担うことを想定し、現地採用で10~15人の開発体制に高めていく予定という。学生を含めた有光准教授の研究チームが取り組む分野では100個以上の原料になり得る可能性があり、新薬開発につながる事業として研究を強化していく考えだ。
有光准教授によると、中分子医薬品は2030年には6・8兆円の市場に成長するとの予測がある。同分野で有光准教授は化合物の「フッ素化」技術を研究。「今後シンクレストのテクノロジーを融合することで製造業で新しいビジネスを創出し、課題だった人材の流出を防ぎ、沖縄の経済発展、活性化につながる」を大きな期待を掛けた。
25日に開かれた開所セレモニーで徐社長は「沖縄の雇用創出、医薬産業、製造業の発展、振興へ微力ながら貢献したい。中分子医薬品の受託合成で世界の頂点を目指し取り組んでいきたい」と語った。
(謝花史哲)