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吸水素材でウクライナ支援 恩納のEFポリマー 農地での利用目指す 県内50社、輸送費寄付


吸水素材でウクライナ支援 恩納のEFポリマー 農地での利用目指す 県内50社、輸送費寄付 EFポリマーのナラヤン・ラル・ガルジャールCEO(右)と下地邦拓COO(EFポリマー提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 オレンジやバナナの皮など食品残さを原料とする自然由来の「超吸水性ポリマー」を生産するEFポリマー(恩納村、ナラヤン・ラル・ガルジャールCEO)が、ウクライナに同社のポリマー5トンを送った。同国の農業を支援することが目的。輸送費は計100万円ほどかかったが、県内企業50社以上の協力によって無事に輸送できたという。

 昨年6月、ロシアの攻撃でウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ・ダムが決壊し、農地への引き水ができず農業生産に影響を与えている。この報道に接したEFポリマーの下地邦拓COO(最高執行責任者)が、ポリマーをウクライナに寄付しようと動いた。

 ただ、ポリマーの生産工場はインドにあり、ウクライナまでの輸送費が課題だった。そこで、県内企業に「ウクライナに届ける農業支援の輪」をテーマに寄付を募ったところ県商工会議所連合会、JAグループ沖縄、ゆがふホールディングスなど50社以上から申し込みがあったという。

EFポリマーが開発した超吸水性ポリマーを土と混ぜることで、少ない水と肥料で作物を育てることができる(提供)
EFポリマーが開発した超吸水性ポリマーを土と混ぜることで、少ない水と肥料で作物を育てることができる(提供)

 同社で開発しているポリマーは、自重の約50倍の水を吸水できることから、少ない水と肥料で作物を育てることができる。また、オレンジやバナナの皮などを原料としているため環境に優しいという利点もある。そのため、かんがい設備を失ったウクライナの農地にも一定の効果が期待できるという。

 下地COOは「ウクライナで人々の生活を支え続けている生産者を支援するため、沖縄の人たちが一つになって支援の輪を広げていければ」と賛同企業を募ったという。

 実際に寄付が集まりポリマーを送ることができたことについて、「賛同いただいた企業の協力があったからこそ実現できた。感謝している」と語った。

 現在、現地の団体とポリマー配布方法について模索中だという。今後、ウクライナ政府の関連機関と共同で利用方法などの技術支援を実施し、農地での利用に向けて準備を進めていく方針。

 (玉寄光太)