キクラゲ栽培を手掛ける旭イノベーション(北中城村、仲眞秀哉代表)がこのほど、ビタミンDと食物繊維を豊富に含む、水に溶けやすいキクラゲの粉末「きくらげ小町」を開発した。昨年の台風で甚大な被害を受けた同社だが、クラウドファンディングや地域の支援を受けて復旧し、新商品の開発にこぎ着けた。仲眞代表は「キクラゲ栽培を通じて障がい者雇用など福祉への貢献も力を入れたい」と話した。
キクラゲから取れるビタミンDは植物由来で、動物由来を避けるビーガン(完全菜食主義者)にも提供可能なため、海外市場の需要も期待できるという。
同社は2023年8月の台風6号で農場のハウスが半壊し、菌床や在庫のキクラゲを廃棄するなど約1千万円の被害を被った。クラウドファンディングで支援を募ったほか、地域の人たちが募金箱を設置したり、古紙収集で資金を集めてくれたりした。総勢600人ほどが復旧に協力した。
復旧作業と並行して商品開発に取り組んだ。これまでもキクラゲの粉末パウダーを商品化したが、地域の高齢者から「水に溶けにくい」という声が届いていた。仲眞さんは国内外の文献を読み研究を重ね、試行錯誤の末に無添加でも溶けやすい粉末を開発した。
同社のキクラゲは従来のキクラゲと比べて16・3倍のビタミンDを含む。ビタミンDは骨の健康や免疫機能の調節に関わる不可欠な栄養素。日本人のほとんどがビタミンD不足とされ、サプリメントで補う人が多い。
通常ビタミンDのサプリメントの多くが羊毛から出るラノリンという脂質で作られるが、「きくらげ小町」は植物由来のため、ビーガンの需要も取り込める可能性がある。
仲眞代表は「薬などに頼りたくない人にぴったりだ。県産素材から栄養を補ってほしい」と話した。
「EMウエルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」やすこやか薬局、オンラインストアで購入可能。詳細は「きくらげ小町」のホームページで。問い合わせは仲眞さん、電話080(7032)0639。
(石井恵理菜)