県農業協同組合中央会(JA沖縄中央会)の会長に嘉数康雄氏(65)が12日付で就任した。沖縄の農業は燃料費や生産資材の高騰、消費の落ち込みなどにより厳しい状況に置かれている。嘉数会長に今後の展望などを聞いた。
―抱負を。
「前会長が志半ばで死去したことに伴う就任で、スピード感を持って取り組むという大きな責任を感じている。生産農家の所得向上を実現するために、中央会として一生懸命やっていきたい」
―現状の認識は。
「ここ数年、コロナのパンデミック(世界的大流行)によるサプライチェーンの破壊、ウクライナ戦争、円安などによって日本の食料安全保障が脅かされている。これまでは競争原理の中で、国内外から安い農畜産物がいつでも消費者の手に渡るという流れがあった。今後、非常事態になると食料が手に入らないという事態も出てくることから、食料の国内生産の重要性が増している」
―県内生産を増やすためには。
「台風が襲来する沖縄では、耐候性ハウスの導入が必要となる。また、肥料・飼料の高騰で生産性コストが上がっている中で、価格転嫁を実施するためには県民の理解醸成が必要だ」
―どのように理解を求めるか。
「農家は一生懸命に安心・安全な農産物を提供している。県民の皆さまにはぜひ、県産の農畜産物を手にとってほしい。それがひいては、将来の県の農業を支えることにつながるということをキャンペーンを通じて訴えていく」
―県農業のポテンシャルはどこにあるか。
「亜熱帯地域にあることで本土の端境期を狙った生産や販売が可能という点、またインバウンド需要が高いという点が挙げられる。また、アテモヤやコーヒー、レモンなどの付加価値のある農産物の生産などがある。ポテンシャルを秘めている沖縄の農業を、中央会として後押ししたいと考えている」
―今後の展望は。
「今年は食料・農業・農村基本法改正の動きもあり、日本、沖縄の農業の未来を形づくる年になると考えている。その変革の波にしっかりと乗る必要があり、中央会の存在責任もかなり求められていくだろう。JAおきなわや県内各農業団体と手を取りながら、現場の声を国や県、市町村などにも訴えていく」
(聞き手・玉寄光太)