豊見城市は、沖縄トヨタグループと協力し、公共施設の駐車場を活用した有料カーシェアリングと、その収益を高齢者の移動支援などの無料カーシェア「とみゅカー」運用に当てる事業を始めた。有料と無料を組み合わせたカーシェア事業は県内で初めて。出発式が23日、豊見城市役所で開かれた。関係者は「持続可能な地域交通のモデルに」と期待している。
有料事業では、豊見城市役所、沖縄空手会館、瀬長島、豊見城総合公園など6公共施設の駐車場に「カーシェアステーション」を設置、計17台のレンタカーを配備する。車は「トヨタシェア」のアプリで有料で利用できる。
一方、無料事業「とみゅカー」は、長堂自治会、市社会福祉協議会、市役所に計3台を配備。高齢者の移動支援などのボランティア活動に活用する。無料で運用し、車両管理や燃料費など必要経費は有料カーシェアの収益で補填(ほてん)する。
出発式で、沖縄トヨタグループの野原朝昌社長は「移動が難しい人たちに移動しやすい環境を提供していきたい」とあいさつした。豊見城市の徳元次人市長は「この事業が地域に根付き、各地に広がることを期待する」と話した。
沖縄トヨタグループと豊見城市の事業が地域の高齢者に還元されるという仕組みに対し、長堂自治会の池宮城留美子会長は「長堂地域にはコンビニや雑貨店がなく車がないと不便だ。買い物や通院を支援することで、高齢者が免許返納しても安心して地域で暮らせるだろう」と期待した。
同事業では、豊見城市と沖縄トヨタグループが昨年12月に「交通まちづくりの連携に係る連携協力に関する協定」を提携。沖縄トヨタは「とみゅカー」3台を提供・管理する。市は公共施設駐車場を「カーシェアステーション」として無料提供する。 (岩崎みどり)