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休息時間延長で「運転手が不足」 ダイヤ改定も「追い付かない」 <迫る24年問題 沖縄の現場から>(1)路線バス(上)


休息時間延長で「運転手が不足」 ダイヤ改定も「追い付かない」 <迫る24年問題 沖縄の現場から>(1)路線バス(上) 運転手のなり手確保が難航する沖縄バスの名護営業所=名護市の名護バスターミナル
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 1日の休息期間を8時間から9時間以上に―。4月に迫る「2024年問題」。ドライバーに関する改定項目の影響が大きかった。

 沖縄バスは通勤通学と帰宅時の混雑時間に合わせ、午前と午後の勤務を交互に担当するなど流動的なシフトでやりくりしてきた。従来の8時間の休息期間が可能にした勤務態勢だった。4月からは休息時間が1時間拡大される。検証を重ねた結果、琉球バスと共同運行する路線を中心に、現状の人員ではダイヤ維持が難しくなることが明らかになった。

 中でも、なり手確保が難航している名護営業所を拠点とする本島北部の路線の維持が課題だった。「共同運行路線の準備を早めなければ」。担当者は危機感を募らせた。

 琉球バスにとっても、減便を伴うダイヤ改定は取り組まなければならない問題だった。

 背景にあるのが乗客数の減少だ。沖縄総合事務局の運輸要覧によると、新型コロナウイルス感染症が広がる前の2019年度以前、沖縄本島を走る路線バスなど乗合旅客自動車の輸送人員は2400万~2600万人で推移していた。

 だが、コロナが流行し始めた20年度から輸送人員が激減。20年度1778万5千人、21年度は1818万4千人、22年度2133万9千人と約600万人減少した。

 それに伴い、営業収入も19年度の75億222万円が20年度は49億1077万円に激減。22年度は回復したが、63億9843万円だった。運転手不足とともに、乗客数の減少が減便にかじを切る一因となった。

 同社は約1年がかりで通勤通学、帰宅時の本数は維持しつつ、乗客数が減った時間帯を洗い出した。琉球バスの職員と何度も協議を続け、本数を調整し、昨年10月の改定にこぎ着けた。

 ただ共同運行路線のダイヤ改定だけでは「2024年問題」の対応は「追い付かない」(沖縄バス担当者)。9時間の休息期間を確保するには、午前と午後の勤務を固定し、一定期間で交代する態勢に切り替えるしかない。

 現行路線を回すためのシフトを計算したが、解決策は見いだせていない。担当者は「今は何とかなっても4月からもっと不足感が出てくるだろう。維持するにはこれまで以上の人員が必要だ」と吐露する。

 同社は24年問題に備え、共同路線に続き、単独路線の減便にも着手した。「何とか利便性を確保したいが」。法令順守と公共交通としての役割の間で葛藤が続いている。(次回は2月9日付、木、金曜日掲載) (謝花史哲)