FIBAバスケットボールワールドカップ2023の経済波及効果が107億円に上ったことを受け、関係者から「相乗効果は大きい」との声が上がる。一方、経済効果が高かったとされる宿泊事業者や、開催地の沖縄市内の飲食事業者らからは「そこまで恩恵を受けていない」「実態と乖離(かいり)していないか」と厳しい声も聞かれた。
県バスケットボール協会の日越延利会長は「周辺市町村がスポーツに力を入れて協力した結果だ。県民が世界中の人々を温かく迎えたことも、この数字につながったと思う」と評価。「野球なら甲子園球場、サッカーなら国立霞ヶ丘陸上競技場のように、バスケは沖縄アリーナを聖地化していければ、沖縄振興に貢献できると思う」と語った。
北谷町美浜には選手を含め多くの関係者が宿泊した。美浜のコーヒーショップ「ジバゴ・コーヒー・ローステリー」には、連日選手やファンのが訪れ、店内ではファンサービスも。10日間で1万2千人が訪れ、期間中売り上げは通常の1・5倍だった。
同店を運営するソウルキッチン(同町美浜)の飯星健太郎代表は「店内でイベントを重ね、相乗効果は大きかった」と手応えを語る。「FIBAをきっかけにジバゴやアメリカンビレッジを知ってもらえて、今でもその効果が続いている」
一方、大会の開催地となった沖縄市では、波及効果を実感できていない事業者も見受けられた。沖縄市中央で飲食業などを営む男性は「ワールドカップ初日はホテルなどは埋まっていたが、期間中に人出が多いという感じはしなかった。沖縄市の市街地よりも北谷などに人が流れたのかもしれない」と肩を落とした。
「コロナの後遺症を抱える中で、まだまだ波及効果が末端まで届いていない」。17・4億円の経済波及効果があったとされる宿泊業だが、県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は厳しい見方を示す。
県ホテル協会の平良朝敬会長も「実態と少し乖離するのではないか」と指摘。「影響があったことは事実だと思うが、非常に効果があったところとそうでもなかったところなど、ホテルによっても捉え方が違うだろう」と話した。 (與那覇智早まとめ)