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【識者】沖縄経済の実態と乖離 東証で最高値 観光客の消費に注目 富川盛武氏(沖国大名誉教授)


【識者】沖縄経済の実態と乖離 東証で最高値 観光客の消費に注目 富川盛武氏(沖国大名誉教授) 富川盛武氏
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 バブルの時と違い、今回の株価の上昇は投機的要素の強いマネーゲームではなく、手堅い投資先として日本企業が選ばれているという特徴がある。だが一部の投資家を除き、恩恵を受けている県民は少ないだろう。

 コロナ禍で落ち込んだ沖縄経済は回復途上にあり、賃上げも進んでいない。日経平均株価の最高値更新は沖縄の経済の実態とは乖離(かいり)している動きだと言わざるを得ない。

 日本企業が投資先として選ばれているのは、賃金と物価が相乗的に上昇するという好循環が見られるためだ。加えて、一時1ドル=150円前後の円安が、海外からの投資を呼び込みやすい環境をつくっている。ただ、沖縄に関しては上場企業が少なく、直接的な影響は現時点で限定的だ。

 一方、今後は株価上昇に伴って観光客の消費額が上がり、県経済にとってプラスとなることが予想される。沖縄はコロナ禍でも外資系のホテルなどが進出した。沖縄には人を引きつけるソフトパワーがあり、投資を促す好機だ。ホテルなどに限らず、県内のさまざまな産業への投資につながれば、県経済も上向く可能性がある。
  (経済学)