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フロン再生、県内で 沖縄フロン回収処理(浦添) 高額化、事業者負担減へ


フロン再生、県内で 沖縄フロン回収処理(浦添) 高額化、事業者負担減へ
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 フロンの無害化事業などを手掛ける沖縄フロン回収処理(浦添市、喜友名朝司社長)は4月から県内で初めて使用済みフロン(冷媒)の再生事業に着手する。国際的に規制が厳格化されるフロン類は国内で生産量が段階的に減らされる方向で、将来的な冷媒不足や単価上昇が予想される。県外で再生事業が徐々に進む中、同社は県内で再生品を生産する仕組みをつくり、費用面など事業者の負担軽減を目指す。

 フロン類は、地球を紫外線から守るオゾン層を破壊することから規制されている。空調機器や冷凍・冷蔵庫などに使われるが、地球温暖化への影響が指摘されている。

 冷媒の主流となっている代替フロン生産の規制は2016年にルワンダのキガリで締約された議定書に基づく。

 「キガリ改正」と言われ、各国にフロンの再生や消費量の段階的な削減を義務づけた。日本は24年以降に削減義務の割合を高める方針で冷媒が入手困難になる可能性があるという。

 沖縄フロン回収処理の下地満顧問は「義務づけはメーカーに対するものだ。そのためか、使用する事業者側は問題に気づけていない」と指摘した。

 県外では再生事業は広がっているが、将来的に単価が上昇する中、沖縄は輸送費でさらに経費増が見込まれるとして「大きな経営負担になる」と説明。県内で再生事業を始めることが「意識を高めるきっかけになってくれたらと思う」と意義を強調した。

 ただ課題は全国的に低迷する回収率だ。再生には回収の技術が必要で、県内にある約400の第一種フロン類充填(じゅうてん)回収登録事業者の協力が重要という。

 沖縄フロン回収処理は冷媒の製造も手掛ける大手空調メーカーと業務提携し4月に専用装置を導入する。7月から本格稼働する予定だ。

 下地顧問は「メンテナンスなどで使うガスが不足していく。破壊から再生に切り替えることで県内でリサイクルする仕組みが生まれれば、コスト的にもメリットが大きいと思う。地産地消を図りたい」と話し、県内での技術確立へ意欲を示した。

(謝花史哲)