那覇市を中心に、自転車を乗りたい場所で借りて行き先で返すシェアサイクルの利用が広がっている。シェアサイクルアプリ「ハローサイクリング」を運営するオープンストリート(東京)によると、1月時点で県内177カ所のハローサイクリングの駐輪ポートに590台が設置され、同月は1万8千回利用された。利用時間帯は午前8時と午後5~7時が多く、観光客のみならず、県内在住者の日常の移動手段としても使われているとみられる。
県内でシェアサイクル事業を手掛けるのは主に4社あり、ハローサイクリングではこのうちプロトソリューション(宜野湾市)、沖縄ヤマハ(那覇市)、スカイツアーズ(東京)の3社のサービスが利用できる。アプリで駐輪ポートの利用状況をリアルタイムで確認し、予約・決済する。料金は15分ごとに100円、12時間まで最大1800円。このほか、ドコモ・バイクシェア(東京)が「ちゅらチャリ」を展開する。
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4社のうち最大シェアを占めるのが、プロトソリューションの「CYCY(サイサイ)」だ。2019年10月に駐輪ポート15カ所、自転車115台で始まったが、今年2月時点で136カ所、495台まで拡大した。駐輪ポートの半数は那覇市にある。
同社の平良武敏メディア事業推進室係長によると、コロナ禍で観光客が減少していた21年末から22年初めにかけても、月間1万回を超える利用があった。平日の朝夕の通勤・通学時間帯に利用が増加する傾向があり、月に1度は乗るユーザーが4500~5千人いるという。CYCYの平均利用時間は25分で、15~20分の「ちょい乗り」が多いのも特徴だ。
こうした点から、同社は観光客以外に県内在住者にも利用が広がっているとみる。平良係長は「推計だが、内訳は県内7割、観光客3割と分析している」と説明する。
CYCYは5年目に入ったが、事業としては「まだ安定期に入っていない発展段階」(平良係長)だという。シェアサイクルが拡大すれば、渋滞解消や二酸化炭素排出量削減といった課題解決にも資する。平良係長は「短距離の新しい交通インフラを目指し、ゆくゆくは全島に広げたい」と見据える。
最も多い利用場所は「県庁前」 会員数は全国9位
ハローサイクリングの会員登録者数は2月に300万人を超えた。最多は東京都で、神奈川県、埼玉県、大阪府と都市部が続く中で、沖縄は9番目だった。自転車産業振興協会の21年調査では、沖縄県の1世帯当たりの自転車保有台数は0・491台と、全国46番目に普及率が低い状況だが、シェアサイクルは利用されている傾向が浮かぶ。
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オープンストリートによると、県内で最も多く利用されている駐輪ポートは「県庁前駅東口エレベーター前」で、「牧志駅西口」「美栄橋駅南口駅前広場」「県議会棟前」などといずれも那覇市内が続いた。
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一方で、ユーザーが会員登録を行った駐輪ポートの地点別のデータをみると、多い順に「ヒルトン沖縄瀬底リゾート」(本部町)、「県議会棟前」、「ラ・ジェント・ホテル沖縄北谷」(北谷町)と並んだ。観光客の利用が想定されるホテルが上位にあるほか、県庁周辺も上位に位置している。
(當山幸都)