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珠玉の島むん 新里えり子(農業者・農福連携技術支援者) <仕事の余白>


珠玉の島むん 新里えり子(農業者・農福連携技術支援者) <仕事の余白>  新里えり子
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 「沖縄でもブドウができるのですね」と農作業をしていると声をかけられ、「島むんのブドウです」と応えるととても驚かれる。この島むんのブドウとは、沖縄在来山葡萄(ブドウ)のリュウキュウガネブという品種である。実はそれほど珍しくなく、今でも沖縄県全域で見かける。

 知っている人も多く「昔摘んで食べたさぁ」などと子どもの頃を思い出しノスタルジックな記憶を蘇(よみがえ)らせる方もいらっしゃるようだ。

 リュウキュウガネブの糖度は20度前後あり、甘酸っぱく味クーターで滋味に富むブドウだ。生食も可能だが、皮が厚く種もある。種無しで皮ごと食べられるブドウが人気のご時世、当園は生食用ではなくワイン用の原料として栽培している。魚は皮と骨の周りが美味(おい)しいと言われるように、果物も皮と種の周りに旨味(うまみ)があるため、時間をかけて発酵させ醸造するワインなどの加工により向いている。

 在来種なので、無肥料・無農薬で栽培できるのもありがたい。葉は厚く、クモ毛と呼ばれる体毛で覆われているため塩害に強い。

 南国の強い紫外線から身を守るため抗酸化物質であるポリフェノール、アントシアニン、レスベラトロールなどの機能成分が高く含まれ、小粒で美しい黒ブドウが採れる。毛深さと色黒は強みだと常に励まされる。

 沖縄には素晴らしい食文化と芸術があり、農業を通して地域活性化の一助になれるよう、この島むんのブドウで、沖縄におけるワイン産業の創出とワイン文化の発展を目指したい。

新里 えり子 しんざと・えりこ

 農業者。うるま市在住。石垣市出身。大学卒業後、IT系会社を経て、就農を目指し県立農業大学校で学ぶ。卒業と同時に新規就農。沖縄在来種山葡萄のワイン「涙(なだ)」の原料やその他果樹を栽培。障がい者の就労・雇用の機会を支援する農福連携技術支援者としても活動中。