沖縄国税事務所は14日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で、泡盛の仕次ぎ技術向上に向けた講演会を開催した。沖縄国税事務所の渡辺健太郎主任鑑定官が講師を務め、古酒コンクールでの評価点や仕次ぎによって得られる香味特性などを解説した。
同コンクールでは出品作品の泡盛の香りや味わい、残香などを5段階で評価する。泡盛の細かい味や香りの表現をまとめた泡盛フレーバーホイールを用いる評価もあり、仕次ぎによって「バニラ」や「カラメル様」「ドライフルーツ」などの香味特性が増すことなどを説明した。また、甕によって貯蔵された古酒も「カラメル様」の香味が増加する傾向にあるという。
香味特性が増す理由について、渡辺主任鑑定官は米の細胞壁にある物質が貯蔵段階で変化することを説明。「カラメル様」が増すには糖分とアミノ酸の変化でソトロンが生成されることを例示した。ソトロンはメイプルシロップのような甘みが特徴の香り成分。しかし、泡盛には糖分とアミノ酸のいずれも含有されておらず、なぜソトロンが生成されるかについては研究機関などでも判明していないという。
渡辺主任鑑定官は「仕次ぎで香味特性は増すが、貯蔵年数との相関関係は見出せていない。貯蔵環境などが古酒の風味や香りに変化を与える」と強調した。
(当間詩朗)