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4月の宮古島市の大規模停電時、来間島の全100戸に電力供給 マイクログリッド初の実稼働 早期仮復旧が実現 沖縄電力など4者


4月の宮古島市の大規模停電時、来間島の全100戸に電力供給 マイクログリッド初の実稼働 早期仮復旧が実現 沖縄電力など4者 来間島のマイクログリッド事業で住宅の屋上に設置された太陽光発電パネル(沖縄電力提供)
この記事を書いた人 アバター画像 島袋 良太

 4月25日に宮古島市全域で発生した大規模停電の際、沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)など4者の共同体が同市の来間島に2022年に整備した太陽光発電と大容量蓄電池を活用した「地域マイクログリッド(MG)」システムが稼働し、主電源の停電中も約2時間にわたり来間島の全戸に電力を供給した。沖電によると、過去3度の訓練でMGを独立運用したことがあるが、実際の停電での稼働は初めて。今回の供給で復旧が遅れがちな小規模離島地域での早期仮復旧が実現した事例となった。

 MGは、一定規模の地域で再生可能エネルギーを活用して発電、供給する仕組み。災害などで大規模停電が発生した際には、おおもとの送配電ネットワークから切り離し、自立的に当該エリアへ電気を供給する。

 大規模停電は4月25日午前3時12分、宮古島市の全域、最大2万5千戸で発生した。沖電によると同6時半ごろから半数程度の戸数で復旧したが、同7時20分に再び全戸停電状態に陥った。

 停電が長時間化したため、来間島については宮古島にある主電源の系統と切り離し、MGで仮復旧することを決めた。
MGは午前9時38分に稼働し、市内全域の復旧にめどが付いた午前11時28分までの約1時間50分、来間島の約100戸に送電した。沖電によると当日は曇り。MGの稼働を始めた時の蓄電池の充電残量は約60%、終了時は50%。2時間で約10%の放電があった。

 来間島のMGは仮に満充電だった場合、組み合わせて使うディーゼル発電機を稼働すれば最大で約4日間、独立して連続運用できる。

 来間島MGは沖電、ネクステムズ(浦添市)、宮古島未来エネルギー(宮古島市)、宮古島市の4者共同体で22年に導入した。島内の約50戸に太陽光パネルを設置し、沖電とネクステムズがシステムを制御している。資源エネルギー庁が設備投資費の3分の2を補助し、残り3分の1を各事業者が負担した。

 来間島MGの他の地域への応用可能性について沖電の担当者は「従来の発送電よりも設備費用は大きい。26年度までを実証期間とし、太陽光発電と蓄電池の最適なバランス、経済合理性の着地点を検討している」と説明した。その上で、経済合理性や技術面の課題が解決すれば「海底ケーブルを敷設している小規模離島や、本島内の電源と離れた地域などで有効ではないか」と話した。

 4月の大規模停電は約8時間半続いた。宮古第二発電所内にある発電機から送電線につながる「母線」と呼ばれる設備に不具合が確認されたが、原因はまだ分かっていない。当初は原因を特定する診断に誤りがあり、停電の長期化も招いた。沖電は診断方法の見直しを含めて検証しているとしている。 (島袋良太)